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【1.資産運用の基礎知識】 退職後の生活費の収支

 2016年6月1日の日経平均株価の終値は16,956円となりました。それからちょうど1年前である2015年6月1日の終値は20,570円でしたので、金額で3,614円、率にして17.6%という大幅下落となりました。この間、資産を日本株式で保有していた方や、確定拠出年金制度で日本株式を中心に運用していた方にとっては厳しい運用環境であったといえます。一方、2017年6月1日現在の終値は19,860円でしたので17.1%の大幅上昇、さらに2018年6月20日は22,555円でしたので33.0%の上昇となっています。投資家にとって環境は一変しています。上へも下へも大きな変動です。

 ここで「退職後の生活費」について考えます。まず、退職後の収入についてみていきましょう。退職後の収入を考える上で大きな柱となるのが公的年金ですが、公的年金の給付水準を示す指標として所得代替率があります。所得代替率とは、平たく言えば、現役時代の所得を分母に、退職後の所得を分子とした計算結果のことです。例えば、現役時代に毎月50万円の所得があり、退職後には25万円になったとすれば、所得代替率は25/50ですから50%ということになります。一般的には60%の所得代替率がないと生活はかなり苦しくなると言われています。

退職後の収支  総務省統計局の調査によると、2人以上の勤労者世帯において、夫のみ有業の世帯の月平均手取り所得額は約40万円※1です。公的年金による所得代替率が60%である場合、約24万円が公的年金から支給される金額の目安と考えることができます。

 これまでは収入をみてきました。それでは退職後の支出額はどのようになっているでしょう。世帯主年齢が60歳以上の無職世帯の場合の消費支出額は、毎月約24万9,000円※1といわれています。さらに、ゆとりある老後生活を送るためには、毎月34万9,000円※2が必要だといわれています

 これらの金額をまとめた図をご覧いただくと、必要な生活費と公的年金との差額は毎月9,000円。ゆとりある生活費との差額は実に10万9,000円にのぼります。この差額分は企業年金、個人年金あるいは貯蓄をとりくずして埋め合わせることが必要になってくると考えられます。例えば、退職後に夫婦そろって25年間生きることを想定しますと、ゆとりある老後生活(毎月、公的年金+10万9,000円)を送るためには公的年金以外に約3,270万円が必要となります。3,270万円という金額は相当大きなものです。毎月11万2,000円強を年あたりの金利2%で20年間貯蓄し続けると確保できる金額なのです。かなり計画的に資産形成をしないことには到達できない金額だと思われます。さらに今後、公的年金の所得代替率が低くなれば、準備しなければならない額はますます大きくなります。現役世代のゆとりと退職後世代のゆとりとの共存の妙案は宝くじ以外にないものでしょうか。

※1 総務省統計局「家計調査報〔家計収支編〕」平成29年2月17日より

※2 (公財)生命保険文化センター「平成28年度生活保障に関する調査(速報板)」より


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