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うつ病

周囲の理解が大切

 最近ようやく理解が得られはじめたうつ病ですが、周囲の想像以上に本人の苦しみは大きいものです。何よりも受け入れる気持ちが大切です。

うつ病とは

うつ病の症状

 うつ病は、憂うつ感が強くなるだけでなく、不安や意欲の低下が現れ、日常生活にも支障が現れます。また、早く目覚めるという睡眠障害など身体症状も伴います。

精神症状

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  • 強いうつ気分(憂うつ感)
  • 落ち込み
  • おっくうさ
  • 何をしても楽しくない、喜びがなくなる
  • 意欲低下、興味も持てない
  • 睡眠障害(不眠または睡眠過多)
  • 思考力(判断力)や集中力の低下
  • 自殺願望(死について考える)
身体症状
  • 食欲の減退・喪失
  • 疲れやすい(倦怠感)
  • 頭重、頭痛
  • 体のさまざまな不調

どんな人がなりやすい?

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 うつ病は、まじめな人や責任感が強い人に起こりやすいといわれます。このようなタイプの人は、どんなに大変なことでも弱音を吐かず、頑張ってしまうので、心身の過労に陥りやすいのです。また、気持ちの切り替えが上手にできない人や、マイナス思考の人もうつ病になりやすいといわれます。

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うつ病の種類

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 うつ病は、大きく次の3つのタイプに分けられます。

大うつ病

抑うつ症状が中心となるタイプで、重いうつ状態が続くのが特徴です。3つのタイプの中で最も患者が多いタイプです。

気分変調症(抑うつ神経症)

うつ状態は比較的軽度ですが、症状が長期間続きます。

双極性障害(躁うつ病)

時期により症状が異なり、気分が高揚した躁状態と、気分が落ち込むうつ状態とが現れます。

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治療法

 強いうつ状態のために生活に支障を来している場合、治療が必要となります。治療の基本は、休養を取り、ストレスを減らし、心身の過労を取り除くことです。また、薬物療法や電気けいれん療法、精神療法(心理療法)、環境調整が行われます。
 治療は十分に回復するまで続けないと、再発や難治化を招きやすくなりますから、回復を焦らず、医師の指示どおりに治療を進めることが大切です。
 ここでは大うつ病の治療法を中心に解説します。

休養

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 うつ病の人は、精神的にも肉体的にも精一杯頑張って、その末に疲れ切っている状態にあることが多いので、まず何よりも休養することが必要です。

薬物療法

 うつ病治療の中心となる薬が抗うつ薬です。神経伝達物質を正常に戻すことで、うつ状態を改善し、つらい症状を和らげます。睡眠薬、抗不安薬、気分安定薬を併用することもあります。
 抗うつ薬は、憂うつな気分を少しずつ改善していき、意欲を徐々に高めていくのに役立ちます。抗うつ薬が功を奏し、うつの症状が消えたとしても、「もう薬がなくても大丈夫」、と薬をやめないでください。症状が消えても脳内の神経伝達物質のバランスが正常になるまで、医師の指示どおりに飲み続けることが大切です。抗うつ薬は、薬を飲み続けても依存が起こることはありません。

電気療法(ECT)

 うつ症状が激しく、自殺の危険性が高いときの救急治療として、あるいは薬で十分な効果が得られないときなどに試されます。全身麻酔をした上で、頭部に電気刺激を与えます。

精神療法

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 精神療法では、患者の心を支えながら、患者に休養や治療の必要性を理解してもらい、うつ病を引き起こした根本的な原因を解明し、今後も社会生活に対応できるようにサポートしていきます。その中心となるのが、一般精神療法(精神分析的精神療法)で、カウンセリングをしながら、患者のうつ病を招いた思考や行動パターンを探り、新しいものの考え方ができるように支援していきます。
 また、認知療法では、現実の受け取り方や考え方が悲観的すぎるという認知を修正し、問題解決の手助けをします。
 ストレスの大きな要因に対人関係がある場合は、対人関係療法として、対人関係の問題解決をしていきます。

環境調整

 治療に際しては、うつ病の発症に影響している環境のマイナス要因を解決していく必要があります。地域や家庭、職場の人間関係やストレスなど総合的な視点から検討していきます。

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増えている働き盛りのうつ病

働き盛りのうつ病の背景

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 企業で働く人たちの心の病が増えています。(公財)日本生産性本部が企業に対して行った「メンタルヘルスの取り組み」に関するアンケートによると、「社員の心の病が増加傾向にある」と答えた企業が、2014年は29.2%で減少傾向でしたが、2019年は32.0%に増加し2021年は減少したものの、2023年は新型コロナ感染症の影響もあり45.0%に激増しました。年齢別に見ると、心の病は10〜20代と30代に多くなっています。また、現役世代で高齢者自殺の背景には、うつ病やうつ状態もあると指摘されています。最近は、うつ病あるいはうつ状態による自殺が労災認定されることも増えてきています。
 働き盛りの世代にうつ病が増えている背景には、何があるのでしょうか。

  • 仕事の量が増える
  • 責任が重くなる世代
  • 過酷な労働環境
  • 終身雇用制や年功序列制から成果主義への変化
  • 子どもの教育や親の介護などに対する責任感

など、多くのストレスにさらされ、それがうつ病の増加につながっていると考えられます。

働き盛りのうつ病のサイン

精神症状

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  • 仕事の能率が落ちる
  • イライラする、怒りっぽくなる
  • 気分が沈み、死ぬことを繰り返し考えるようになる
身体症状

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  • 不眠
  • 食欲低下
  • 体重減少
  • 飲酒量の増加

治療は急がば回れ

 うつ病を発症する人は、責任感が強く、まじめな人が多いため、心の病があっても、仕事を休むことを拒否する場合が多いようです。しかし、治療で最も大切なのはまず休養をとることです。自分の病気と向き合って、まずは治療に専念することが必要です。
 また、症状がよくなったとしても、焦って職場復帰しないで、再発を防ぐために働き方や生活習慣を見直していきましょう。

治療から職場復帰までの流れ

治療

休養を取り、抗うつ薬などで普段の調子が戻ってきたと感じられるようになるまできちんと治療する。

調子のよい状態を保つように自己管理

治療の効果が現れてきたからといって、焦って職場復帰しないこと。うつ病の原因となった働き方や生活習慣を見直そう。

リハビリで体力や筋力、判断力を取り戻す

治療中に低下した体力や筋力、集中力や判断力を取り戻すため、職場復帰支援プログラムなどを利用してリハビリをする。

復帰後の職場環境についての話し合い

職場復帰のしかたについて、事前に職場の担当者、上司などとよく話し合う。

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女性のうつ

 産後や更年期は、女性にとって生活環境が大きく変化します。加えて、女性ホルモンの分泌量の変化が引き金になり、うつ病を発症する女性が増えています。

産後に起こるうつ病

 産後は育児や家事に追われ、睡眠不足や生活習慣の乱れなどで強いストレスを感じるようになる人が多いようです。それに加えて、女性ホルモンの分泌量が急激に変化して、心身が過労状態に陥り、子育てに対する不安も増幅していきます。この不安感や身体症状が高じてくると、うつ状態に陥りやすくなります。

産後のうつ病に注意したい人

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    夫など周囲の人から十分サポートが得られない人

    「育児も家事も全部自分一人でやらなければならない」と思い詰める。

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    まじめで几帳面な人

    育児や家事が思い通りに行かないと、「私はダメだ」と自分を責める。

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    予定外の妊娠

    子育てに対する心の準備ができていない。

更年期に起こるうつ病

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 女性が更年期を迎えると、めまい、不眠、肩こり、関節痛、顔のほてり、冷え、動悸、頭痛、倦怠感など、さまざまな症状が現れることがあります。これが更年期障害です。
 そこに、子どもの自立や親の介護などの生活環境の変化によるストレスが加わり、うつ病にかかる人も多いようです。

うつ病が心配される女性は

 産後のうつ病も、更年期のうつ病も、単なる悩みや更年期障害と片づけず、一度精神科や心療内科にかかってみましょう。また、一人で悩みを抱え込まず、夫や家族、地域社会の協力を得ることも必要です。産後の女性の場合は、地域の保健所や子育て支援センターなどで相談してみましょう。

高齢者のうつ

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 高齢者も、働き盛りの世代と同様、うつ病の人が多く見られます。高齢者のうつ病は一般に「老人性うつ病」と呼ばれています。うつ病の症状を「年のせい」と決めつけず、周囲の人はうつ病のサインを見逃さないようにしましょう。特に、高齢者のうつ病は、自殺の危険性が高いので、早い段階で適切に対処することが大切です。

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