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いきいき終活プラン

公的年金の手続

20歳以上で日本国内に住んでいる人は必ず公的年金制度(国民年金、厚生年金保険)に加入することとされています。したがって、20歳以上の人が亡くなった場合には、公的年 金制度に関する手続が必要となります。ま た、死亡に伴い、遺族に公的年金制度の給付(遺族年金など)を受ける権利が発生することがあり、そのための手続が必要となる場合があります。いずれの手続にも年金手帳(年金加入者に交付)や年金証書(年金受給者に交付)が必要となります。遺族などに引き継ぎたい重要な書類と一緒に保管するとよいでしょう。


場合ごとに必要な手続

【年金受給者が死亡した場合の手続】

・年金受給者が死亡した場合に必ず必要となる手続は「年金受給権者死亡届(報告書)」の提出です。
→ 併せて「未支給年金請求書」の提出が必要となる場合があります。
・老齢厚生年金や障害厚生年金の受給者が死亡した場合は、遺族(配偶者、子、父母、孫)に遺族厚生年金を受ける権利が発生することがあります。
・受けていた年金の種別に関わらず、遺族に18歳到達年度の末日(3月31日)までの間にあるかまたは20歳未満で1・2級の障害のある子が含まれる場合は、遺族基礎年金を受ける権利が発生することがあります。

<手続>

・提出する人は、同居の親族など戸籍の死亡の届出義務者とされています。(日本年金機構に個人番号(マイナンバー)が収録されている場合、死亡から7日以内に戸籍の死亡の届出を行えば、年金の死亡届は不要となります。)
・提出先は、日本年金機構です。最寄りの年金事務所が窓口となります。
・提出期限は死亡したときから14日以内とされています。
・用意する書類は、「年金証書」、「死亡診断書など死亡を明らかにする書類」です。


(留意事項)
年金は月単位で支払われ、受給者が死亡した場合は死亡した月までの分が支給されます。死亡の届出が遅れると、死亡の翌月以降の分が支払われる可能性があり、死亡の翌月以降分が支払われた場合、後で年金を返さなければならない場合があります。


【被保険者(年金加入中の人)が死亡した場合の手続】

・被保険者が死亡した場合は「被保険者資格喪失届」が必要となります。届出の方法は被保険者の種類によって異なります。

<手続>

・被保険者の死亡の手続は、加入している制度や被保険者の種別により異なります。
・国民年金の第一号被保険者が死亡した場合は、住民票や国民健康保険の死亡の手続と同時に、市(区)役所または町村役場の窓口で行います。手続を行う人は、同居の親族など戸籍の死亡の届出義務者です。
・国民年金の第三号被保険者(厚生年金保険の被保険者の被扶養配偶者)が死亡した場合は、厚生年金保険側の事業主や共済組合が手続を行います。
・厚生年金保険の被保険者が死亡した場合は、事業主や共済組合等が手続を行います。


【未支給の年金の請求】

・年金は年6回偶数月(2月、4月、6月、8月、10月、12月)に支払われますが、支払われる額は、支払月の前2カ月分が、後払いされます。
 したがって、6月に支払われる額は、4月分と5月分となります。このため、年金受給者が死亡した場合、支払われていない年金が発生することとなります。例えば5月に死亡した場合、4月分と5月分が支払われていないことになります。この未払い分は、「未支給の年金」として、一定の要件を満たす遺族に支払われます。
・未支給の年金を請求できる遺族は、死亡した受給者と生計を同じくしていた(同居、仕送りなど)配偶者、子、父母、孫、祖父母、兄弟姉妹、他の三親等以内の親族です。ここに列挙した順番に順位が決められており、先順位者がいる場合は、後順位者は請求できません。同一順位の遺族が複数いる場合は、代表で1名が請求します。
・死亡した人が年金を受ける権利を有しながら請求する前に死亡した場合は、いったん死亡した人の年金を請求する手続が行われます。
・未支給年金の請求は、基本的に受給権者死亡届と同時に行われます。
・用意する書類は、親族関係及び生計同一を証明するものです。(戸籍謄本、住民票、仕送りの状況など)
・過払いの発生や未支給年金の関係を考慮して、あらかじめ死亡届を提出する人を決めておくとよいでしょう。

 (留意事項)

・年金と相続権
年金を受ける権利は受給者に固有のもので、親族であっても他人に譲り渡したり、相続したりすることはできません(一身専属権)。未支給の年金は、一定の要件に基づき給付として遺族に支払われるものであり、相続財産として支払われるものではありません。したがって要件を満たす遺族がない場合は、相続人が設定されていても支払われません。なお、すでに支払われた年金は財産として相続対象となります。

遺族給付

死亡により遺族に公的年金制度の給付が発生する場合があります。給付の内容や要件は死亡した人が加入していた年金制度により異なります。

・遺族給付を受けるためには、死亡した人及び遺族がそれぞれ一定の要件を満たす必要があります。

【遺族厚生年金、遺族基礎年金の要件と年金額】

(1)遺族厚生年金

厚生年金保険に加入していた人が死亡した場合は、遺族厚生年金を受けられることがあります。

●死亡した人の要件

<厚生年金保険への加入に関わる要件>

①被保険者(失踪の宣告を受けた被保険者であった人であって、行方不明となった当時被保険者であった人を含む)が、死亡したとき。
②被保険者であった人が、被保険者の資格を喪失した後に、被保険者であった間に初診日がある傷病により初診日から起算して5年を経過する日前に死亡したとき。
③障害等級の1級または2級に該当する障害の状態にある障害厚生年金の受給権者が、死亡したとき。
④老齢厚生年金の受給権者(保険料納付済期間と保険料免除期間とを合算した期間が25年以上である人に限る)または保険料納付済期間と保険料免除期間とを合算した期間が25年以上である人が、死亡したとき。

<保険料の納付に関する要件>
死亡した人が、国民年金に加入すべき期間全体で、保険料の未納期間が3分の1未満であること。
*死亡日が2026年3月末日までのときは、死亡した人(65歳未満)が直近1年間に保険料の未納がなければよいことになっています。

●遺族の要件

<対象となる遺族>
配偶者、子、父母、孫、祖父母。
*遺族には優先順位(列挙した順)があります。優先する遺族がいる場合は次の順位以降の人は請求できません。
*夫、父母、祖父母は、死亡した人の死亡時に55歳以上であることが必要です。また、遺族厚生年金の支払いは60歳からとなります。
*子、孫は、死亡した人の死亡時に18歳到達年度の末日(3月31日)までの間にあるかまたは20歳未満で1・2級の障害があることが必要です。
*配偶者には事実婚の場合も含まれます。
*遺族厚生年金の受給者が再婚などで死亡した人との親族関係が終了した場合は、受ける権利が消滅します。

<生計維持の要件>
遺族が、死亡した人によって死亡時に生計を維持していたことが必要です。具体的には、生計同一であり、遺族の年収が850万円以下であることが必要です。
*死亡した人の年収は要件となりません。

<年金額>
 死亡した人の老齢厚生年金額×3/4
*遺族が40歳以上の妻の場合、加算が行われる場合があります。
*老齢厚生年金には加給年金額などの加算が行われる場合があり、必ずしも現在受けている老齢厚生年金の4分の3の額となるとは限りません。

・遺族厚生年金の他に年金を受ける権利がある場合。
一人が複数の年金を受ける権利を有する場合、基本的にいずれか一つの年金を選択して受給することとなります。
ただし、65歳以上で遺族厚生年金と老齢厚生年金・老齢基礎年金を受ける権利を同時に有する場合、

①遺族厚生年金と老齢基礎年金は同時に受けることができます。
②遺族厚生年金と老齢厚生年金は選択となりますが、遺族厚生年金の額のほうが高い場合、老齢厚生年金を全額受けて、さらに死亡した人の老齢厚生年金と自分自身の老齢厚生年金の差額を遺族厚生年金として受けることもできます。
(自分自身の老齢厚生年金を受けられる場合、亡くなった配偶者の老齢厚生年金との関係)

※自分自身の老齢厚生年金の受給権がある場合は、Ⓐ(自分自身の老齢厚生年金)は全額支給とし、Ⓑ(亡くなった配偶者の報酬比例の年金額の3/4)とⒸ(自分自身の老齢厚生年金の1/2と亡くなった配偶者の報酬比例の年金額の1/2の合計)を比較していずれか多いほうとの差額が支給されます。



(2)遺族基礎年金

遺族基礎年金は、国民年金加入中の人が亡くなったときで、その人によって生計維持されていた「18歳到達年度の末日(3月31日)までにある子(障害の状態にある場合は20歳未満)のいる配偶者」または「子」が受けることができます。

・遺族に18歳到達年度の末日(3月31日)までにある子または20歳未満で1・2級の障害のある子が含まれる場合、配偶者や子に遺族基礎年金を受ける権利が発生する場合があります。
・死亡した人の要件や遺族の要件は遺族厚生年金と同様です。(夫の年齢制限はありません。)
・年金額は、780,100円の基本額に子の人数に応じて加算(2人目までは1人あたり224,500円、3人目以降については1人あたり74,800円)があります。
・遺族基礎年金と遺族厚生年金は同時に受給することができます。

●死亡した人の要件

<国民年金への加入に関わる要件>

①被保険者が死亡したとき。
②被保険者であった人であって、日本国内に住所を有し、かつ60歳以上65歳未満である人が死亡したとき。
③老齢基礎年金の受給権者(保険料納付済期間と保険料免除期間とを合算した期間が25年以上である人)が死亡したとき。
④保険料納付済期間と保険料免除期間とを合算した期間が25年以上である人が死亡したとき。

<保険料の納付に関わる要件>
遺族厚生年金保険と同様です。

●遺族の要件

<対象となる遺族>
配偶者、子
*配偶者については、被保険者または被保険者であった人の死亡の当時その人によって生計を維持し、かつ、次に該当する子と生計を同じくすることが要件となります。
*子については、18歳到達年度の末日(3月31日)までにあるか、または20歳未満であって障害等級(1・2級)に該当する障害の状態にあり、かつ、現に婚姻をしていないことが要件となります。
<生計維持の要件>
被保険者または被保険者であった人の死亡の当時胎児であった人が生まれたとき、その子は被保険者または被保険者であった人の死亡の当時その人によって生計を維持していたものとみなし、配偶者は、その人の死亡の当時その子と生計を同じくしていたものとみなします。


●寡婦年金、死亡一時金

・寡婦年金は、夫が死亡して以下の要件を満たした場合に、妻に権利が発生します。
①死亡した夫が、国民年金の第一号被保険者として保険料を納めた期間と免除された期間を合わせて10年以上有すること。
②夫の国民年金の加入期間に基づいて年金(老齢基礎年金や障害基礎年金)を受けたことがないこと。
③婚姻関係が10年以上継続しており、夫の死亡当時妻との生計維持関係があったこと。
・寡婦年金の年金額は、夫の国民年金の第一号被保険者期間で計算した老齢基礎年金の額×3/4 で計算され、妻が60歳から65歳までの間受けることができます。
・死亡一時金は、国民年金の第一号被保険者として保険料を納めた期間を36月以上有する場合に遺族に支払われます。
・死亡した人が国民年金の加入期間に基づいて年金(老齢基礎年金や障害基礎年金)を受けていたり、死亡により遺族に遺族基礎年金が発生した場合には支払われません。
・支払われる遺族は、死亡した受給者と生計を同じくしていた(同居、仕送りなど)配偶者、子、父母、孫、祖父母、兄弟姉妹、他の三親等以内の親族です。ここに列挙した順番に順位が決められています。
・寡婦年金と死亡一時金を受ける権利がどちらも発生する場合があります。この場合、どちらか一方を選択することとなります。


<遺族給付の手続>

・公的年金制度の給付は、受給者となる人が自ら請求手続を行うことが必要です(自動的に支払われることはありません)。請求は、市(区)役所または町村役場の窓口や年金事務所に備え付けてある「年金請求書」により行います。
・請求にあたって用意する書類は以下のようなものです。
〇年金手帳及び年金証書(死亡した人、請求者)
〇死亡の事実が分かる書類(死亡診断書など)
〇死亡した人と請求者の身分関係、生計維持関係が分かる書類(戸籍謄本、住民票の写し)
〇請求者の収入が確認できるもの(課税(非課税)証明書、源泉徴収票など)
〇年金を受け取る金融先機関の通帳等
〇印鑑
※状況によって追加して提出する書類があります。市(区)役所または町村役場の窓口や年金事務所等にご確認ください。
・請求の窓口は、加入していた年金制度により、年金事務所、共済組合等、市(区)役所または町村役場の窓口となります。最寄りの年金事務所にご相談下さい。
・年金請求書が受理され受給の権利が確認されると、「年金証書・年金決定通知書」が交付され、年金の支給が開始されます。

<企業年金、国民年金基金に加入していた場合>
死亡した人が厚生年金基金、確定給付年金、確定拠出年金、国民年金基金に加入していた場合は遺族に一時金が支払われることがあります。それぞれの運営機関にご照会下さい。



年金と税金

公的年金制度からの給付は、老齢基礎年金及び老齢厚生年金以外は所得税が課せられません。したがって、ここで取り上げた遺族給付は課税の対象とされません。2つ以上の年金の支払いを選択する場合はこの点も考慮する必要があります。
なお、死亡した人にすでに支払われている年金を相続した場合は相続税の対象となります。


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