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抗菌薬と薬剤耐性の関係

風邪は感染症の一つですが、ひとことに「感染症」といっても、細菌(ばい菌)が病原体のものと、ウイルスが病原体のものがあります。ウイルスと細菌は全く別のものです。細菌は単細胞の生物で、細胞分裂により増殖します。ウイルスは生物と非生物の中間的な存在で、生物の細胞に入り込み細胞の生命に依存して増殖します。
抗生物質などの抗菌薬は細菌に対して効果を発揮する薬です。ウイルスに対しては効果がありません。風邪の原因は細菌ではなくウイルスです。従って、風邪は抗菌薬では治らないのです。
細菌性の感染症とウイルス性の感染症の例 *( )内は細菌またはウイルスの名称
<細菌性の感染症> 肺炎(肺炎球菌)、結核(結核菌)、食中毒(黄色ブドウ球菌、サルモネラ
菌、ボツリヌス菌など)
<ウイルス性の感染症> 風邪(ライノウイルスなど)、インフルエンザ(インフルエンザウイルス)、
新型コロナウイルス感染症(コロナウイルス)など
薬剤耐性(AMR)とは、特定の種類の抗菌薬が効きにくくなる、または効かなくなることをいいます。原因は、抗菌薬の不適切な使用(不必要使用及び不適切使用)です。薬剤耐性菌が増えると、抗菌薬が効かなくなることから、これまでは、感染、発症しても適切に治療すれば軽症で回復できた感染症が、治療が難しくなって重症化しやすくなります。最悪の場合、死に至るリスクが高まります。免疫力の弱い子ども、高齢者、妊婦、持病のある方は特に注意が必要です(図1)。
抗菌薬の不必要使用と不適切使用
<不必要使用>
抗菌薬が必要でない病態や病気に対して使用すること。
<不適切使用>
抗菌薬が必要な病態・病気だが、誤った種類の抗菌薬を選択したり、適量を超えた量や期限を過ぎて使用すること。
<厚生労働省「薬剤耐性(AMR)対策」より>
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000120172.html

<政府広報オンライン「抗菌薬が効かない「薬剤耐性(AMR)が拡大! 一人ひとりができることは?」より>
https://www.gov-online.go.jp/useful/article/201611/2.html
薬剤耐性は世界中で拡大し、深刻な問題となっています。このまま対策を講じなければ、2050年には1年で1,000万人以上が感染症で死亡するといわれています。このような状況下で、WHO(世界保健機構)は「薬剤耐性は世界規模の公衆衛生にとって深刻化する脅威となっており、全ての政府機関や社会が行動を起こす必要がある」と注意喚起を行っています。日本では、厚生労働省が2016年から「薬剤耐性(AMR)対策アクションプラン」を策定し政府一体となった取り組みを進めています。現在の「薬剤耐性(AMR)対策アクションプラン」は下記のとおりです。

<厚生労働省「薬剤耐性(AMR)対策アクションプラン(2023-2027) 概要)より>
https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/ap_gaiyou.pdf
薬剤耐性を拡大させないためには、何よりも感染症にかからないようにして抗菌薬を使う機会を少なくすることです。さらに、医師の指示で抗菌薬を使う際には、指示に従い適正に使用することが大切です(図2)。
※市販薬で飲み薬としての抗菌薬は販売されていません。市販されているのは塗り薬や目薬などの外用薬です。
薬剤耐性を拡大させないために一人ひとりができること
<感染予防>
●日頃からの正しい手洗い、うがいを習慣付ける。
●手指を消毒しマスクを着用する。
●バランスの取れた食事や十分な休息を心掛け、免疫力を高める。
●インフルエンザワクチンなどの予防接種を受ける。
<抗菌薬の適切な使用>
●医師に処方された抗菌薬は、指示された時間(食後・食前など)、回数、分量を守って使用する。
●症状が良くなっても自己判断で途中で使用をやめたりせずに、最後まで使い切る。
●残った抗菌薬は別の機会で使ったり、他人に譲ったりしない。

<政府広報オンライン「抗菌薬が効かない「薬剤耐性(AMR)が拡大! 一人ひとりができることは?」より>
https://www.gov-online.go.jp/useful/article/201611/2.html

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