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結核の現状

現在の感染症法の前身である結核予防法が制定され、国家としての本格的な結核対策が開始されました。医療の向上や公衆衛生の改善、予防接種の効果などで、その後、罹患率も死亡率も順調に低下していきます(グラフ1)。
現状はどうでしょうか。厚生労働省の集計結果によると、2024年に新たに結核として登録された患者数は10,051人で、1,461人の方が亡くなっています。患者数は前年よりも45人(0.4%)減少、死亡数は126人(0.8%)減少していますが、結核は現在も日本の主要な感染症として位置付けられています。

<公益財団法人 結核予防会 結核研究所 疫学研究センター「結核罹患数・罹患率」より>
https://jata-ekigaku.jp/
<厚生労働省「2024年 結核登録者情報調査年報集計結果」より>
https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/001547187.pdf
地域別に罹患率(人口10万対)をみると最も高いのは大阪府(12.8)で、最も低い山形県(4.1)の約3倍となっています。
結核罹患率(人口10万対)の高い地域と低い地域(2024年)
<高い地域> 大阪府12.8、徳島県12.3、大分県10.7、岐阜県10.2、和歌山県10.2
<低い地域> 山形県4.1、長野県4.2、山梨県4.4、新潟県4.9、北海道5.3

<厚生労働省「2024年 結核登録者情報調査年報集計結果」より>
https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/001547187.pdf
<主な症状>
結核菌は主に肺の内部で増えるため、咳、痰、発熱、呼吸困難など、風邪のような症状がみられます。
肺以外の臓器が冒されることもあり、腎臓、リンパ節、骨、脳など身体のあらゆる部分に影響が及ぶことがあります。小さな子どもや高齢者は症状が現れにくく、症状が全身に拡がって重篤な状態になりやすいため注意が必要です。
●潜伏期間 半年~2年
咳、痰、微熱など、ときとして血痰、食欲低下、体重減少などがみられます。
●病状の進行
治療せずに病状が進むと、呼吸困難に陥ることがあります。また、骨や腸管、腎臓など肺以外の臓器にも病巣ができることがあります。
<予防接種(BCGワクチン)>
生後1歳までのBCGワクチン接種により、小児の結核の発症を52~74%程度、重篤な髄膜炎や全身性の結核に関しては64~78%程度罹患リスクを減らすことができると報告されています。生後5か月~8か月の期間に1回の接種が標準的な接種スケジュールです。
<咳エチケット>
咳やくしゃみが出始めたら、マスクを着用して他の人にうつさないようにしましょう。
<定期健診>
成人を迎えたら、結核に限らずさまざまな疾患を早期発見するためにも、胸部エックス線検査を1年に1回受けることが大切です。胸部エックス線検査は、感染症法により、学校、職場、自治体などが行う定期健診の必須項目になっています。
<厚生労働省「結核」より>
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou03/index.html
海外渡航するときは注意!
日本は罹患率8.1の結核低まん延国ですが、近隣のアジア諸国には罹患率が高い国もあります。結核は飛沫感染するため、必要であれば渡航前にBCG接種を検討しましょう。

<厚生労働省「2024年 結核登録者情報調査年報集計結果」より>

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