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SASの重症度は、1時間あたりの回数=無呼吸低呼吸指数(AHI=Apnea Hypopnea Index)で判断されます。5〜15回を軽症、15〜30回を中等症、30回以上を重症と分類されています。
・肥満のため首周りに脂肪が付いて気道が狭められる。
・扁桃が大きい(扁桃肥大)。
・アデノイド(咽頭扁桃)がある。
・舌が大きい(巨舌症)。
・気道に舌が落ち込む(舌根沈下)。
・軟口蓋と呼ばれる鼻とのどの境の部分が垂れ下がる(軟口蓋沈下)。
・あごが小さいか、後退しているため(小顎症)、気道の断面積が小さい。
・鼻の空気の通り道が曲がっている(鼻中隔湾曲症)。

いびき
睡眠中に呼吸が止まり、呼吸が再開するときに大きないびきを伴います。SASの場合、いびきはほぼ100%あります。
日中の眠気
浅い睡眠を繰り返すために、本来必要な睡眠がとれていない分、昼間、睡眠を補おうとします。
記憶力の低下
睡眠は脳の情報整理やチャージの時間でもあるので、眠れていないとこの作業ができなくなります。そこで記憶力や作業効率の悪さにつながります。
起床時の頭痛
無呼吸状態に陥るため、体に酸素が回らず、脳が酸欠状態になります。
夜間の頻尿
無呼吸状態は交感神経が興奮している状態です。交感神経が興奮していると、体は尿をつくるため、何回もトイレに行きたくなります。
インポテンツ
勃起不全は、SASに特有の途切れた眠り(覚醒反応)やレム睡眠の欠如により出現すると言われています。
重要なのは睡眠の“質”です。一晩の睡眠は、レム(REM)睡眠、ノンレム(non-REM)睡眠の周期で構成されています。レム睡眠(図1)は眠りが浅いときの睡眠で、大脳活動は覚醒に近く、夢を見ることが多い状態です。ノンレム睡眠は(図2)、大脳が休まり、夢を見ないほどに熟睡している状態です。健康な人は、夜、レム睡眠とノンレム睡眠を約90分周期で繰り返します。
SASの無呼吸状態は、ノンレム睡眠の時間によく起こるようです。そのため、ノンレム睡眠がレム睡眠へと変わり、いくら睡眠時間が十分でも脳は休むことができず、日中に眠気が襲ってきてしまうのです。


アメリカではこの眠気による経済的、社会的損失を国家的に見直そうと、1993年から“Wake Up America! ”というプロジェクトができたほどです。その報告書の中には、スペースシャトルのチャレンジャーの打ち上げ直後に爆発した事故は、整備作業員の眠気による作業ミスが引き起こした事故と書かれています。また、スリーマイル島の原発事故、チェルノブイリ原発事故、アラスカ沖タンカー座礁事故なども同様と報告されています。
日本でも1997年より、厚生労働省が睡眠に関して取り組みを始めています。交通に関係している業界では、国土交通省の指導の元、SAS診断を義務づけるなど、国、企業、団体一丸となって交通の安全に力を注いでいます。
たかが眠気と侮らず、心当たりのある人は、早めに専門医の診断を受けましょう。SASは、しっかりと治療すれば治る病気なのです。
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次のPSG検査(終夜睡眠ポリグラフィー)では、終夜睡眠ポリグラフィー(PSG)という検査機器を使用し、脳波、呼吸状態、動脈血酸素飽和度、体位、心電図などを測定し、睡眠状態と呼吸状態をトータルに判断します。
体にセンサーを付けて夜間睡眠中の呼吸状態を記録する簡易検査を自宅で行うこともあります。
SASの診療は、内科、麻酔科、精神科、耳鼻咽喉科、歯科・口腔外科など、多岐にわたっています。原因がよくわからないときは、空気の通り道を診てもらえる耳鼻咽喉科を受診しましょう。あるいは、内科でも耳鼻咽喉科、歯科・口腔外科などと連携し、総合的に診てもらえる病院がいいでしょう。最近は、睡眠障害を専門とするクリニックも多くなっています。
治療法は、内科的治療、歯科装具、手術に分けられます。原因を突き止め、それに合った治療法を、患者と相談しながら医師が選択します。また、治療の効果を上げるためにも、生活習慣の改善も必要です。
CPAP療法
CPAP療法(Continuous Positive Airway Pressure=経鼻的持続陽圧呼吸療法)は、安全で有効性も高く、最も普及している治療法です。睡眠中に、鼻から専用のマスクを通じて気道に空気を送り込み、気道を広げます。睡眠中のみ使用します。高血圧などの合併症の予防、改善効果もあります。
マウスピース
専用のマウスピースを作成する方法で、SASの軽症の人に有効です。一般的に上あごと下あごが固定したマウスピースを患者の歯形に合わせて作成します。その際、下あごを上あごより数ミリ前に固定することで、気道の面積を広げます。いびき症の人にも有効です。ただし、総入れ歯や重症の顎関節症の人は使用できません。
外科手術
のどの閉塞する部位を手術によって切り取る方法です。大半は扁桃肥大が原因の場合で、閉塞する部位によって手術の適応が決まります。最近ではレーザーを当てて、部位の組織を小さくする方法もあります。

太っている人は減量を
減量することで首の周りの脂肪も減り、無呼吸が軽減されます。日ごろから積極的に体を動かし、食生活にも気をつけましょう。
飲酒の制限
お酒は上気道の筋力を弱めるため、無呼吸を悪化させます。飲み過ぎや寝る前の飲酒は避けましょう。
禁煙
たばこも上気道の弛緩や、炎症を起こさせたり、血液中の酸素濃度を低下させたりすることがあるので、禁煙に努めましょう。
睡眠薬
睡眠薬の中には無呼吸を悪化させるものがあるので、医師とよく相談する必要があります。
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