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【住まいの防災対策と災害後の対応①】地震に備える

以前(2015年)に紹介した「自然災害と家」というテーマの記事の中で、地震についてもふれましたが、今回は地震に対してどのように対策し、地震の後はどうするのが良いかを考えていきます。
続編として「積雪と水害」、さらに「風害と火災」についても取り上げていきます。

起こる前の確認と準備が大切

最近では直近の地震であればある程度予知できるようになりました。ただし、警告があってからでは体一つで逃げるのが精いっぱいです。住まいの中も周辺も危険で溢れています。日ごろから現状を確認し、もしものときに備えておくことが何より大切です。

1.地震に備える
2.地震の対応

1.地震に備える

建物本体は専門家のチェックを受ける

昭和56年以前に建てられた建物は新耐震基準で設計されていないので対策が必要です。「耐震診断」という構造チェックを専門家にしてもらい、必要な箇所を補強します。(参照:当サイト「自然災害と家①  地震・市街(地すべり)・風害と家
http://zenshakyo.org/sumai/feature/feature17.html

※鉄筋鉄骨コンクリート造(SRC)は中程度の高層建築に用いられ、住宅系には用いられない。
■それ以外の住まいの構造
〇鉄骨造(S)
鉄骨造(S)は高層を含む大規模オフィスビルや都市部の中小ビルなどが多いのですが、住居系では住宅メーカーの戸建てタイプやワンルームマンションなどで使われています。鉄骨も重量鉄骨と軽量鉄骨に分けられ、ハウスメーカーの鉄骨は軽量鉄骨が多くなっています。

〇木造(W)
木造(W)には在来工法と2x4(ツーバイフォー)があり、前者は柱+梁で構成されますが、後者はパネル状の壁や床を組み上げていくものです。他にログハウスなどもあります。
■耐震基準の変遷
〇昭和25(1950)年
関東大震災を基準とした耐震基準(旧基準)

〇昭和56(1981)年
十勝沖地震などで見直し(新耐震)

〇平成12(2000)年
阪神淡路の震災(直下型)を考慮(木造でも浮き上がり防止のための金具を付けるなどの対策)

最近の話題としては2011年3月11日に起きた東日本大震災の時のような長周期型の揺れに対する耐震をどう行うかという問題が起きています。

ガラスの飛散防止

地震でガラス窓やガラス製品が割れて、庭やバルコニーへ逃げるときに経路を断たれるということは避けたいものです。あらかじめ想定した経路のガラスやガラス製品は飛散防止フィルムを貼っておきましょう。飛散防止フィルムは、プラスチックのヘラと霧吹きがあればDIY店やインターネットで購入して自分でも貼れます。

屋根の点検

●瓦屋根
瓦は1枚毎に重ねて置いてあるので、地震の上下動でずれたり、ひどいときは落下したりする危険があります。洋風瓦は針金で留めてあることもありますが、いずれにしても外に避難する場合は落クッションなどで頭を保護して出ましょう。

●コロニアル
人造のスレートでセメント板の薄いもの(6mm〜9mm)で、瓦に比べて軽いことと1枚ごとスクリュー釘で止めてあることで落ちてくる心配はありません。

●金属葺き
コロニアルと同じく軽い部類ですが、こちらの方がさらに軽いので、地震の場合でも落下の心配はありません。ただし、強風などのときはめくれて飛ぶこともありますので要注意です。また、断熱や遮音という点では性能が落ちます。なお、最近増えている飛び込みセールスをしてくる業者には気を付けて下さい。特に、「瓦が割れています」等と言って葺き替えを薦めたりする場合は注意が必要です。

室内の対策

●置き家具の転倒防止に使える物

■家電機器の落下、移動防止は…
〇冷蔵庫
冷蔵庫は入れ替えや引越しを考えて後ろがキャスター(車輪)になっています。そのため、地震時はせり出してくるので前面の足元が動かないようにジェルマットを敷いておくと良いでしょう。前面は高さ調節用のアジャスターになっているのでジェルマットの分低くしてセットします。その他の方法としてはツッパリ棒も有効です。
〇エアコン
壁付けの室内機は軽く、専門の工事業者が取り付けるので心配ありませんが、室外機の方は注意が必要です。スペースが無くて2段積みになっている場合はフレームで組まれているか、または基礎がしっかりしているかを注意しましょう。特にその場所が避難経路になるときは要注意です。
〇テレビ
薄型テレビは安定性が悪いので壁に対してワイヤーで結んでおくほうが良いでしょう。ジェルマットも有効なので併用すれば安心です。
■室内避難シェルターの設置
建物全体を耐震化するのは大変ですが、避難シェルターを室内に置くという手段もあります。丈夫な机の下に避難するという方法が進化したもので、1m角の立方体で大人2人が避難できるようになっています。平常時は邪魔になるのは避けられませんが、地震などの備えとしては有効です。梁などが落ちてきても身を守ることはできますが、住まいが倒壊してしまった場合は脱出するのが困難なので、救助を待つことになります。

ガス・電気・水道の対策

●ガスメーター
マイコンメーターが一般的になってきていますが、長時間使われ続けたり、震度5以上の地震を感知したときにガスが使われていれば遮断する機能があります。都市ガスだけでなくLPガスの場合もマイコンメーターがあるので、自分のところはどんなメーターなのか確認して置きましょう。「地震!→ガスを消す」という作業をマイコンメーターが自動でやってくれるので、利用者は自身の安全確保と避難を重視して行動できます。
マイコンメーターを使っていなくても、ガスは地震時に中継所で遮断するようにもなっていますが、配管自体が破損すると、最近の大阪の例にもあるように1週間以上たっても復旧できないこともあります。
ガスが供給されている状態で個々のガスを復旧させるためには、その前にコンロなどの栓が閉まっていることを確認することが大事です(メーターのタグに書かれています)。裏技ですが、マグネットを使ってメーターの心臓部(数字下あたり)に当てると復旧、あるいは開栓しているときは閉鎖する事ができます。

●水道・下水
水道管、下水管の耐震化工事は少しづつ進んできていますが、地震のときは使えなくなることを想定しておいたほうが無難でしょう。すなわち、簡易トイレや水の確保は必要です。トイレに関しては災害時用の応急トイレが公園などに設定されることを知っておいたほうが良いでしょう。
「仮設トイレ付きマンホール」といって、マンホールを開けるとテントがぶら下がっているようなタイプもあります。これは下水道が生きている場合のみ使えますが、やはり、水を使わない糞尿固化剤と簡易トイレ(バケツでも)を用意しておいたほうが良いでしょう。

●電気
電気は防災用グッズの手廻し発電式懐中電灯があれば、ラジオも付いていて携帯電話の充電も可能なので必需品です。自宅の屋根に付けたソーラーパネルも損傷が無ければ利用できることもあります。

■地震とエレベーター
高層マンションは停電すると水も使えず、エレベーターも使えないので深刻です。東日本大震災以降、発電装置を付けたマンションもあるようですが、管理人が常駐している場合でも夜間は不在のことが多く、住人の誰かが操作できるようでないと使えないでしょう。
エレベーターは震度4から5程度で停止しますが、その際、近い階に止まって扉が開くようになっているので閉じ込められる事は少なくなっています。最寄階で開いた扉はしばらくすると自動で閉まります。その際、中からは開けることができますが、外からは開けられません。まだ停電をしていなければ復旧できますが、エレベーターのメンテナンス会社が来ないと動かないのでその間は階段を利用することになります。
近辺では同じように停止しているので、メンテナンス会社が復旧に来るまでに数時間掛かることもあります。実際、今年の6月の大阪地方の地震では地震対策未了のエレベーターかあるいは対策済みで作動しなかったのかは不明ですが、閉じ込められた人が数十人出ました。停止してしまったエレベーターの中には1週間以上も復旧しないエレベーターがありました。高層マンションの上層階では非常階段で生活するのは困難です。余談ですが、筆者が新宿の高層ビルで働いていたとき、昼休みに何気なく50階から階段で下りたことがあります。若かかったので、誰もいない階段を駆け下りましたが、30分以上かかった記憶があり、災害時は大変だと実感しました。
各家庭のホームエレベーターも一般のエレベーターと基本的には同じです。万一閉じ込められたときでも電話で外部に連絡できます。一般の番号に掛けるには、0を押してから(説明書参照で要確認)などで連絡は取れるようになっています。

庭など外部の対策

●塀の安全確保
塀は、地震で壊れる物の中でも特に危険性が高く、道路を歩く(避難する)人にダメージを与え、なおかつ町全体に被害が拡大するので注意が必要です。

●土留め
土留めは土地の高さの違うところで崩壊を防ぐために作られますが、種類は石積み(大谷石を含む)、PCコンクリート製、CB(コンクリートブロック)製、現場打ちコンクリート製、間知<ケンチ>ブロック製など多種あります。この中で注意が必要なものは大谷石積みとCB積みで、前者で経年劣化で表面が剥がれてきたりしているものは補修や交換が必要です。後者は塀の場合と同じくひび割れや土圧によるムクリ(湾曲)が無いかチェックしましょう。

●ガレージ
既成のアルミ製のものは、軽いので地震の影響は受けにくいのが特徴です。ただし、突風や積雪に関しては充分注意が必要です。

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2.地震後の対応

自宅は損傷を受けているが自立している場合はどうする?

損傷の度合いを判断するのは難しいですが、例えば壁のヒビ割れがあっても建具に隙間が無く(柱の位置がずれていない)、開け閉めできれば(傾いていない)大丈夫でしょう。柱が傾いたり床の水平が狂っている場合はドアや引戸が動かないので注意が必要です。できれば室内にとどまらないほうが良いでしょう。

●避難する
余震に注意して建物から離れて避難場所に向かいます。特に瓦などが余震で道路に落ちてくることもあるので、状況を判断することが必要です。避難する前に余裕があるときは、通電火災を防ぐためにブレーカーを落としてから避難しましょう。後で電力が回復したときにストーブなどが点いて火災を起こさないようにするためです。

●地域内に残留する
不燃化を含めた新耐震以降あるいは耐震化工事が終わっている建物が多い地域は、遠く離れた指定避難場所に移動するよりは建物に留まったほうが安全な場合があるので、地域の情報を日頃から知っておくことが重要です。そのような地域(特に都市部)は、ビルの中に災害時の一時待避所を提供している所もあるので利用すると良いでしょう。コンビニやガソリンスタンド、ホテル等には災害時徒歩帰宅支援ステーションとして登録されているものが多いので表示のマークは頭に入れておくと良いでしょう。ただし、マークは色々あって統一されていないのが現状です(下図)。


●建物内の避難誘導灯表示
建物内で避難するときは下記のような標識に従って避難してください。停電時でもバッテリー内臓のため点灯しています。


●避難場所の表示
サイン(ピクトグラムという)は最近JISなどで制定されてきたものでなじみが薄いかもしれませんが、直感的に理解しやすいデザインなので外国の人にもわかりやすいものとなっています。

下記のインターネットサイトで他の避難用サインも参照してみてください
www.bousai.go.jp/kyoiku/zukigo/pdf/symbol_02.pdf (内閣府「災害種別避難誘導標識システムに用いる図記号等」)

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