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【隣家との境界①】柵や塀を作る

柵や塀は、敷地(自分の領域)と他の部分を分けるために設ける囲いです。
ある国の大統領は隣国との境に不法移民を防ぐ為に柵を設けようとしています。こうした囲みはなぜ必要なのでしょうか。
今回は柵や塀について、住まいの場合を取り上げます。

外敵を防ぎ領域を示すのが柵・塀

柵や塀のなかでも、住宅に用いる場合は、その土地の事情や予算に合わせて設計しましょう。あとから隣家とトラブルが生じないように、隣家の承諾を得ることも大切です。自分の土地だけを囲むというよりは、周囲とも調和をとりながらも防犯の役割をしっかり果たせることが柵・塀のポイントとなります。

1.日本の柵・塀の特徴
2.境界に関する法律
3.柵・塀の材料
4.斜面や段差に柵・塀を作る

1.1日本の柵・塀の特徴

柵・塀は何のためにあるか

柵や塀は、その国や国の事情を反映して作られます。例えば、モンゴルやアラスカでテントを住まいとして、食料を求めて移住しながら暮らす場合は柵や塀は作らずに住むでしょう。
日本の場合でも畑や果樹園、植林などの場合は柵や塀を作らずに畦道や道路によってその範囲がわかる訳です。しかし、熊や鹿、猪からの被害を防ぐ為に柵を設けたりします。電気を通した鉄線の柵にすることもあります。従って、柵や塀は外敵から守る為と、自分の所有或いは管理する範囲を明確にするという2つの要素があるわけです。

日本の柵・塀

日本では、建売でお互いの建物が1mに満たない間隔で接している場合などは柵・塀を作る必要がないと思われますが、それでもコンクリートブロックで60cm位の高さの塀が境界線上に設置されていたりします。現在の民法では住宅は隣地境界から50cm離すように規定されていますが、隣家同士了解していれば30cmでも良いため、連続に建つ建売の場合はメンテナンスできる最低の寸法で建てられることが多いのです。日本の場合は、よりお互いの領域を視覚的に明確にして、掃除や草取りの範囲を明確にする目的に作られていることが多いようです。

※この場合、左の外壁からフェンスの中心まで50cmありそうです。条例で50cm以上或あるいは90cm以上などと規制されることがあります。
この場合、燐棟間隔は90cmで敷地境界から45cm。 建売の間のフェンスコンクリートブロック2段積みに60cmの高さの金属フェンスで地面から1mの物。

欧米では

欧米では石造りやレンガで家を作るので、隙間を空けずに壁を作って土地を最大限に活用しています。その分、道路との間に空間を作って植栽したりしています。日本の長屋※と似ていいます。昔の木造では真壁の塗り壁なので壁厚も薄く隣の音は結構聞こえていたと思われます。日本のように多湿でないので、通風の窓を側面に開けずに作れるということもありそうです。

※長屋という言葉は死語のように聞こえますが、建築基準法ではしっかり生きています。住宅では1戸建ての住宅、共同住宅(いわゆるマンション)、寄宿舎、長屋(最近ではテラスハウスなどとも言われています)などがあります。シェアハウス、グループホームなどの住まいも出てきています。

この写真では屋根に付いている窓の数で1戸の範囲が分かります。2階の窓と玄関ドアの位置からすると右2個と左2個は手前の道が傾斜して少し高さが違うのがわかります。また、道路との境界には金属製のフェンスが設けられています。
英国のディタッチドハウス(Detached House)。

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2.浴室・洗面所・洗濯スペースを新しくする

民法と建築基準法

民法では隣地境界線から外壁を50cm以上離すように決められています。土地を購入して住まいを立てるときはこれに従って建てることになります。民法は相隣間の権利義務の秩序維持のために定められている私法なので、50cm規定を守らないとしても、公法(建築基準法など、国などが国民の義務を定めた法)にある罰や命令といったものを課せられることはありません。とはいえ、住宅は長い間、隣同士で暮らしていくわけですから、良い関係をもって暮らしたいものです。
一方、建築基準法では、防火地域や商業地域などの地域においては外壁を耐火構造にすることなどにより敷地境界いっぱいまで建築できます。
なお、地域の建築条例などで一定規模以上の宅地開発(1つの敷地を分割して建売などを建てる行為)をするときには、隣地境界から50cm以上離すこと、敷地の最低面積を80m2或いは100m2とするなどの規制が行われることが多くなっています。住環境の上ではこれらの規制は必要と思われます。


隣家との合意

50cmという距離は、建物をメンテナンスしていく上でも通風を確保するためにも最低限な寸法に思われます。隣家同士納得すれば、お金を出し合って隣地境界線上に塀を建てる事はできます。費用は半分で済みますし、敷地も5〜6cm有効に使えて良いのですが、共有塀なので、隣地所有者の合意なくして撤去や再築造はできないことになります。特に隣人が土地建物を売ったりすると次の人とうまく話しができるか不安です。

コンクリートブロックの構造基準

既存塀が構造的に基準を満たしていなければ、建築確認(国土交通省管轄)を認可することができないので新築や改築をする時は注意しましょう。古いコンクリートブロック造や大谷石の塀は基準をクリアしていないことが多くなっています。

【高さが1.2mを超えているか? 超えている場合は塀に直角方向に控えの壁が3.4m毎に作られているか?】

<大谷石の塀(改修前)> <化粧コンクリートブロック塀(改修後)>
鉄筋も無くモルタルで積み上げているだけで不安な塀(H=1.5m)。 大谷石調のコンクリートブロックに改修。高さも1.2mとして直角方向の控え壁無しとしている。

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3.CAD(作図用コンピュータソフト)を使ってみる

柵と土留め

次のような例があります。
<例>

金網フェンス(鉄製で安価)。 コンクリートブロック2.5段(50cm)とアルミフェンス(60cm)。 一般的なネットフェンス。心材※1は鉄線だが、塗料にどぶ付け※2してあるので錆び難い。

アルミ目隠しフェンス(H=1.8m、細かい穴が開いていて少し通風性あり)。 アルミ枠と採光フェンス(ポリカーボネイト※3樹脂パネル)。 コンクリート基礎とアルミルーバーフェンス(目隠しタイプ)。

万代塀:プレキャストコンクリート※4 部材を組立てるため施工が楽で、型枠が必要ないので敷 地いっぱいまで建てられる。写真ので一段上がったコンクリートからの高さが2m。 ウッド調フェンス。下部は化粧ブロック積み60cmで敷地内は植栽をしている。

※1 中心に近い部分。
※2 表面をメッキなどでコーティングすること。
※3 高強度の樹脂で透明、スモークなどの種類がある。似たような物にアクリル樹脂がある。
※4 工場で型の中に鉄筋を組んでコンクリートを流し込む工法。高温高湿で乾かすと強度が2 倍以上出る。


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3.CAD(作図用コンピュータソフト)を使ってみる

斜面に塀を作る

斜面をそのままで柵・塀を作ることができます。擁壁を作って庭を平坦にするにはお金が掛かるため、斜面のままフェンスを作ります。
<30度以下の斜面の場合>
30度以下の斜面ならば土の状態でも崩れませんが、雨などで土が流れるので芝などを張って保護する必要はあります。30度の勾配は高さの約2倍の水平距離が必要です。

<65〜70度の斜面の場合>
角度は65度から70度、高さは5mまで可能。下の部分は土中に基礎のコンクリートなど(30cmから60cm位)が必要です。コンクリートに比べて型枠が必要無いなどで安価です。

<その他>
逆L字型の擁壁の例です。鉄筋コンクリートの擁壁は直角に近く、高くまで土留め出来て土地を最大限利用でしますがコストは高くなります。

段差に柵・塀を作る

平坦地はフェンスやコンクリートブロック、生垣などで柵・塀が作られますが、段差のある所は石垣や擁壁などで土を留めてからでないと柵が作れません。道路と敷地に段差がある場合は、庭やガレージとして活用するため、土留めや構築物を作って利用します。なお、多くの場合、段差に関しては処理された状態で土地が売られています。宅地造成がされた上で、土地だけや建物付きで売買されているわけです。

<例>
間知石(ケンチイシ)積み(古い物で天然の石を使っている)。 こちらは、コンクリート製の間知石。どちらも水抜き穴があり、水圧で倒壊するのを防ぐ。また、裏側には裏込め石として砂利が詰められている。 コンクリート擁壁(下からコンクリート、化粧コンクリートブロック、フェンスの構成)。 正面(水抜きはパネルの目地から)。

PC コンクリートの土留めに植栽(サツキ)。

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