ここからトップページから現在のページまでのパスを示したリストが始まります

ここから本文が始まります

【自然災害と家②】雷・自然火災・火山活動

自然災害のなかでも、予期することが難しいのが雷・自然火災・火山活動です。また、一度発生すると、被害規模が大きいのも特徴です。そんな雷・自然火災・火山活動に対して住まいはどう対応できるのか。第2回は雷・自然火災・火山活動について、その対策を掲載します。

決して他人ごとではない

雷や自然火災、火山活動と聞くと、どこか他人のことのように思う人もいると思います。しかし、予測が難しいのがこれらも自然災害です。災難は、いつ自分に降りかかるとも限りません。自然の力を前に人間は無力だとしても、少しでも安全な住まいや避難場所を確保できるよう、できる限りのことはしておきたいものです。

1.
2.自然火災
3.火山活動

1.雷

雷のメカニズム

雷は水蒸気が上空に上がり、冷えて氷の粒になりそれらがぶつかり合って静電気を蓄えた雷雲となります。そこで地上との間に電位差が生じ落雷となります。
雷の電力量は約900ギガW(=100W電球90億個分)に相当します。これを有効に使えればソーラーパネルなどとは比較にならないくらい大きな電力ですが、放電の時間は、1/1000秒という非常に短い時間なので蓄えるのは困難です。

◆雷と自分の距離
雷がどのくらい離れているところで生じているか、簡単に計算する方法があります。光と音は伝わる速度が違うので、その時間差(秒)で計算すると雷が存在する位置までの距離がわかります。
そこで雷との距離をP(km)、稲光から雷鳴までの時間差をA(秒)とすると、音の秒速は0.34(km/s)ですから、
P(km)=0.34xA(秒)
で計算することができます。
例えば稲光から5秒後に雷鳴が聞こえた場合は 0.34x5=1.7km離れていることになります。

住まいの雷対策

大きな木や建物には雷が落ちやすいので注意が必要ですが、建物は20m(7階建て程度)を超える場合は避雷針の設置が義務付けられています。写真のような銅製の突針が通常のものですが、高層ビルなどでは屋上の周囲に銅線を回して避雷針とする場合もあります。いずれもそこで雷を受けて、建物の誘導線を通って、地中へと安全に逃がします。とは言え、パソコンは影響を受けることがあるので、コンセントにはさむプロテクターなどの対策は必要です。 避雷針は雷を避ける装置ではなく、うまく誘導して地中に逃がす装置のことです。したがって、直上に雷があるときはそこに落ちやすいようになります。

■避雷針の設置基準

■落雷プロテクター

2.自然火災

自然火災のメカニズム

火災は人災がほとんどですが、山火事などの自然災害も気象の変化と合わせて増えてきています。アメリカなどでは、CO2が増えて、温暖化により自然発火する山火事が起きており、広大な森林が消失しています。人家の被害もあるようです。わが国では森林火災は落雷や自然乾燥による発火はそれほど多くはありませんが、今後温暖化が進めば増加が心配されます。わが国は防火の構えは進んでいても、このような森林火災に対しては無力です。避難に然るものは無いでしょう。また、別荘地などの自然環境の良いところは防火の基準も低いのでなおさらです。

住まいと防火対策

わが国では火事は「江戸の華」などと言われて、木造建築は火に対して弱点を持っていました。昭和に入って、建築基準法が制定され、火事に対しての基準が制定されました。その考え方は、地域のなかで定められたものと建物自体の防火基準の両方から成り立っています。建物が密集する市街地ではより強固な防火基準が求められ、郊外の地域では緩やかな基準が制定されています。

■都市計画と防火基準

都市計画として地域ごとにどのような建物を建てて良いかが決められています。その中で防火についても基準が定められています。

地域の分類防火基準の特徴
防火地域最も厳しい防火基準が求められる。木造建築は建てることができない。
準防火地域市街地はこの地域に指定されていることが多い。外壁などの基準が防火構造であることが必要。板張りの外壁は不可。
■防火の構造

個別の建物については、地域の基準と建物用途や規模に応じて防火の構造が決められています。

建物の構造基準内容
耐火構造鉄筋コンクリートなどの構造自体が燃えにくい物で出来ている建物。鉄骨の場合は耐火の被覆材で覆うとこの構造になります。
準耐火構造木造でも3階建てなどはこの構造に当たる。内部もある程度の防火性能が要求される。
防火構造外壁や屋根、軒裏などの部分を燃えにくい材料で覆った建物。隣の火災を受けても一定時間、延焼を防ぐのが目的。
■火事の際の煙を考慮した構造

排煙装置や窓に工夫がされています。火事の際に煙による人的被害は甚大なので、人が集まる部屋や廊下には煙を外に逃がす必要があります。また、煙が広がらないように天井面から垂れ壁を設けて防煙することも必要です。

■火気を使う部屋の内装制限

台所や暖炉のある部屋、ガスコンロを使う部屋は内装にも配慮し、壁、天井を燃えにくい材料で作ることが必要です。ただし、床から1.2mまでは免除されます。また、IHコンロの場合は少し条件が緩和されますが、電気コンロ(ラジアントと呼ばれるものを含む)は緩和されません。

■その他の防火対策

火事が起きたときに避難するための非常階段や避難梯子や避難ロープなどの設置も規定されています。戸建の住宅でも2階のベランダに避難梯子やロープなどを設けておくと安心です。
また、火事が起きたときに警報があれば、初期消火や避難も早くできます。住宅についても火災警報器の設置が義務付けられています。後から付けられるような電池式の機器が出回っていますので各部屋に設置しておきましょう。電池式ですが10年はもちます。

このページの先頭に戻る ▲

3.火山活動

とにかく避難

火山の噴火に対して、通常の住まいは「無力」です。火石流と噴石は両方とも家にダメージを与えます。そのため、人々はそういった場所を避けて暮らしてきましたが、日本のように火山の多い国では避けることも難しい場合があります。国や自治体では、火山の状態を観測して、避難警告を出して人命の安全を確保しています。
気象庁では立ち入り禁止や避難の警報として5段階の設定をしています。

■火山の警戒レベル
レベル5避難、居住地域厳重警戒 <口永良部島>
レベル4避難準備
レベル3入山規制  <箱根山、桜島>
レベル2火口周辺危険(立ち入り禁止)
現在、<浅間山>がこれに当たるが他に<御嶽山、吾妻山、草津白根、阿蘇山、など>
レベル1平常

火山噴火の事例

●ベスビオス火山(イタリア)
ベスビオス火山から10Km離れたボンペイという町は火砕流で埋没しました。当時、人口2万の町は噴火の3年前(西暦62年)に、地震に襲われて壊滅状態にあったそうですが、痛ましくも復興後に噴火で埋没しました。5mの深さに埋まった町は、18世紀に発見されて現在も発掘が行われており、世界遺産となっています。
*ミニ情報*
火砕流の速度は100Km/時、噴火から24時間で町は埋没したと言われています。

●御嶽山(長野県)
2014年9月に噴火して、57人が死亡し、ほかに6人が未だに不明です(2015年7月末現在)。木造の山小屋の屋根は噴石で穴が開くほどの規模でした。
*ミニ情報*
推定噴出量は1日で50万t。噴石の比重を1.8とすると28万m3=東京ドームの1/4。60cmの噴石が時速400Kmで飛びました。
●桜島(鹿児島県)
噴火と地震は1914年(大正3年)に噴火開始から約8.5時間後に地震(M 7.1)が起きた。2006年から噴火活動を再開しています。
*ミニ情報*
推定噴出量は210,000万m3=東京ドームの1,700倍。

日本の火山

日本には110ほどの活火山があります。活火山の定義は、「概ね過去1万年以内に活動したことのある火山或いは現在噴気などの活動をしている火山」となっています。このなかから、47の火山が要注意としてピックアップされています。

このページの先頭に戻る ▲





前のページに戻る

ここから他ページへ飛ぶリンクナビゲーションが始まります

ここからフッターリンクナビゲーションが始まります