ここからトップページから現在のページまでのパスを示したリストが始まります

ここから本文が始まります

【食を楽しむ㈹】古来の英知が詰まったハーブの力


ハーブと密接に関わりながら歴史を重ねてきた人々の暮らし。病気になれば薬で治療するのが今の主流ですが、医療が発展していないひと昔前までは、植物がもつ様々な効果・効能を上手に利用しながら治癒が行われていました。植物のなかでも、特に私たちにパワーを与えてくれるハーブの数々は、長い歴史とともに研究が積まれ、スパイスやアロマといった、より身近なものへと変化して私たちの暮らしに彩りを与えてくれています。ハーブの魅力を知ることは、先人たちの英知に触れる機会でもあり、生活に取り入れることは、暮らしをより豊かにすることにも繋がります。

自然のパワーが詰まったハーブ

そこで今回は、「新鮮野菜を味わおう」と題して、野菜を育てる楽しみ、それを収穫して味わう楽しみをご紹介します。
『トマト嫌いな子どもが自分の育てたトマトを美味しいと言って食べ、好き嫌いがなおった!』などといった話をよく耳にしますが、新鮮野菜には無限大のパワーが秘めている、と感じることもしばしばです。新鮮だからこその良さ、美味しさに迫ってみたいと思います。

1.歴史を紐解く

今も昔も変わらず薬草として根付く

そもそも、ハーブが利用され始めたのは、紀元前3000年のメソポタミア時代から。当時は医学的効果というより、呪術に使われるアイテムのようなものでした。それがエジプト時代になると、ハッカや乳香など、現在でも使われるハーブの多くが薬草目的で使用され始めました。その後徐々に、ハーブ=薬草としての認知度は高まり、ハーブやスパイスが貿易商品として高い価値が見出される大航海時代になると、海を越えて、世界各国にも広がりをみせたのです。

ちなみに、古くからハーブを使いこなしてきたヨーロッパとは異なり、日本は海に囲まれ自然豊かな島国。ヨーロッパのようにハーブを保存や消臭目的で使用するというよりは、料理の薬味的な使われ方が多かったようです。ハーブのほとんどは外国産ですが、日本のハーブは和製ハーブと呼ばれ、しょうが、わさび、にんにく、しそなどが有名です。こうした和製ハーブは、近年の研究によって様々な健康効果が期待されるようになるまでは、おいしく食べるための食材としての認識が高かったように見受けられます。

庶民の助けになるハーブ療法

大航海時代後半になると、ヨーロッパではハーブ療法が盛んになります。ところが医療が発展するにつれ、今度は逆にハーブ療法は影を潜めることとなります。ハーブ療法に改めて注目が集まりはじめたのは近年になって植物に関する研究が進みはじめてからです。ハーブが人体に与えてくれる様々な効果が科学的に証明されはじめたからです。また、医療の進歩によって逆にできてしまった副作用といった歪みもハーブ療法に注目が集まった1つの理由と言えるかもしれません。日本ではハーブ療法はまだまだ馴染みがありませんが、海外では、医療機関で取り入れているところも多くあります。今後ますますこの分野の広がりに注目してみましょう。

このページの先頭に戻る ▲


2.ハーブの種類と効能

それぞれの特性を知ろう

ハーブそれぞれに、特性があります。名前をどこかで一度は聞いたことがある代表的なハーブを、その特徴や効果とともにいくつかご紹介します。


■ローズゼラニウム

ゼラニウムのなかでも特に香りが強く、バラの香り成分と同じグラニオールを含んでいます。主にアロマオイルとして使用され、気持ちが不安定なときや落ち込んでいるときに、気分を明るくし高揚させる効果があります。

■ペパーミント

ガムやお菓子、モヒートといったドリンクにも使われて認知度抜群のハーブ。清涼感のある爽やかな香り。スペアミント、アップルミント、パイナップルミントなど、種類が豊富。殺菌・防腐効果、胃腸の消化を助ける、精神の沈静効果も。リラックスしたい時にもおすすめです。

■ローズマリー

若返りのハーブとも呼ばれ、肉や魚料理の臭み消しなどに使用されることが多い。森林浴のような清々しい香り。血行を促し、消化を助ける働きがある。抗菌、抗酸化作用も強いので、美容にも利用される。

■カモミール

黄色い中心部に白い花びらが愛らしいカモミールは、ティーなどにブレンドされることが多く、心身をリラックスさせるイメージが強い。リンゴのような香りで、食用不振や消化不良にも効果がある。

■ラベンダー

リラックス効果の象徴として名高いラベンダー。その独特な香りとともに、優れた薬効でローマやギリシャ時代から人々に愛され続けている。殺菌、防腐、沈静効果や、皮膚炎症を和らげて、皮膚組織の回復にも一役買う。

■レモンバーム

レモンのような爽やかな香りで風邪予防にも効果的です。ゼリーといったスイーツの飾りにも使われ、親しむ機会が多い。ミントやレモングラスなどその他ハーブとの相性がよい。

■レモングラス

レモンのような香りが特徴的です。虫が嫌う香りのため、虫よけスプレーなどにも使用される。気持ちのリフレッシュや貧血予防、胃腸の消化、脂肪分解を促す効果もあるといわれる。

■セージ

ソーセージの語源にもなったセージは殺菌、防腐効果が抜群で臭み消し、風味づけにベスト。ハンバーグやトマトの煮込み料理などにも使われる。血液浄化、強壮効果があるので、疲れている時におすすめです。
※他にも、ローズ、タイム、フェンネル、ゼラニウム、バジル、ベルガモットなど多種多様なハーブが存在します。

このページの先頭に戻る ▲


3.季節ごとにおすすめのハーブティ

身近なハーブティーからトライ

ハーブを生活に取り入れる方法は色々ありますが、個々の香りを楽しみつつ、期待される効果を効率的に体内に入れると方法ではハーブティーが最適です。目的別にブレンドされたティーも各社販売されていますが、フレッシュハーブティーの爽やかと味にはかないません。ぜひ、フレッシュでお試しください。今回は、ハーブティーの入れ方と季節ごとにおすすめのハーブティーをご紹介します。

ハーブティーのおいしい入れ方

①太い枝や傷みのある葉は取り除く。
②事前にティーポッドは温めておき、適当な大きさにちぎったハーブの葉を入れる。ハーブの量は1人分、片手に軽く乗るくらい。ポットの大きさやお湯の量、お好みで加減してください。
③100度の熱湯を注ぎ、蓋をして3〜5分蒸らす。長く蒸らしすぎると渋味や草っぽい味が強くなるので注意しましょう。

季節ごとのおすすめハーブティー

:気温上昇に合わせて体が活性化するため、冬の寒さで滞りがちだったどろどろ血液を浄化するのに最適な時季です。血液浄化効果が期待できるネトルオレンジブロッサムルイボスなどがおすすめです。

:新陳代謝が高まる一方で、心臓や臓器、呼吸器系の負担が重くなる時季です。また、汗で失われがちなビタミン、ミネラルを積極的に取り入れたい時季。そこで、飲むサラダとも呼ばれる、ビタミン、ミネラル豊富なマテ、ビタミンC豊富なローズヒップ、また食欲不振に、ペパーミント、レモングラス、レモンバームもおすすめです。これら3つのハーブはブレンドティーとしても相性抜群です。

:夏の疲れが蓄積して、疲労が高まる時季です。また憂うつな気分にもなりやすいため、心身疲労に役立つローズマリー、ホルモンバランスを整えるセージ、生態リズムを整えてくれるセントジョーンズワートなどがおすすめです。

:体温が下がりやすく、乾燥などから抵抗力も落ちる時季。風邪予防にはエキナセアがおすすめです。免疫強化、抗ウイルス効果もあり、薬効に優れたインデアンハーブとしても有名。また、あわせて、抗炎症作用のあるエルダーフラワーローズヒップをブレンドすると、効果倍増でおすすめです。

このページの先頭に戻る ▲


4.ハーブを食事に取り入れよう!

料理をより美味しくするハーブ。今回は、身近で手に入れやすい、ローズマリーとペパーミントを使った2つのレシピをご紹介します。簡単に作れて、ハーブの特性を存分に活かした味ですよ。

■レシピ1  ローズマリーとじゃがいものソテー

ローズマリーとにんにくの香りが食欲をそそる、鉄板レシピです。

【材料】
■ローズマリー(ドライでもフレッシュでも)…小さじ2
■じゃがいも(メークイーンがおすすめ)…2個
■にんにく…2片
■オリーブオイル…適量
■塩…適量

【作り方】
①オリーブオイルをひいたフライパンを弱火で熱し、細かく刻んだにんにくを入れる。香りがたったら、ローズマリーを入れ、軽くいため合わせる。
②1ミリ厚にスライスしたじゃがいもを①のフライパンに入れ、弱火のまま炒める。片面ずつじっくりと火を通すのがベスト。強火にするとローズマリーが焦げてしまうので、弱火でじっくりがポイント。
③じゃがいもの全体が透き通ってきたら火が通ったサイン。中火にして、ガーリックがカリカリッと香ばしくなるまで一気に炒め上げて完成。


■レシピ2  ペパーミント生チョコ

絹豆腐でヘルシーに、生チョコのようなとろける感覚とビターな味わいが大人な印象です。

【材料】
■ペパーミント(フレッシュ)…約20枚(お好みで加減)
■板チョコ…100g
■絹豆腐…75g
■きなこ…小さじ1弱
■オリーブオイル…小さじ1
■純ココア…適量

【作り方】
①絹豆腐は数時間水切りしておく。ペパーミントを軽く水洗いし、水気を拭き取ったら、すり鉢ですりつぶす。繊維が残らないよう、どろどろになるまですりつぶすのがポイント。
②①のペパーミントにオリーブオイル入れて軽く混ぜ合わせる。さらにきなこも入れてよく混ぜ合わせる。
③②に水切りした絹豆腐を入れて、舌触りが滑らかになるよう、どろどろになるまで混ぜ合わせる。
④湯せんで溶かしておいた板チョコを③に流し込んで、よく混ぜ合わせる。
⑤平たくのばせる容器(バッドなど)に純ココアをまぶしてから④を流し入れ、平たく均一にのばす。(あとで成形するのでこの段階で几帳面にならす必要はなし。)冷蔵庫に入れて冷やし固める。
⑥冷えて固まったら冷蔵庫から取り出し、純カカオを敷いたお皿などに取り出す。へらなどですくいあげるように取り出すと容器から出しやすい。純カカオを全体にまぶしながら、お好みの形に成形して完成。

このページの先頭に戻る ▲


4.まとめ

様々な角度からご紹介したハーブの魅力、まずは気楽に取り入れてみましょう。フレッシュがなければ、ドライハーブを。スーパーのスパイスコーナーにズラリ並んでいます。料理に取り入れて楽しんだら、次ステップは自宅で何か1つ育ててみるのもおすすめです。ハーブは虫がつきにくく、乾燥に強いので、少しぐらい水をあげわすれても大丈夫。初心者でも育てやすいことで有名です。おすすめはローズマリーやペパーミント。また、ハーブに慣れたら、今度はその効果を理解しつつ、自分の体調に合わせてチョイスしてみると、自然と体が楽になったり、ホッとリラックスできるのを感じられるかもしれません。このように、昔から脈々と受け継がれてきた植物とのお付き合い、改めてその素晴らしさを体感してみませんか?

田中恵子(フードライター)
編集プロダクション、WEB制作会社を経てフリーランスに。フード、ファッション、介護などの媒体で、取材・執筆・編集を担当。食べることが大好きで、フード系の取材は多い月で30件にも及ぶ。最近では横浜の農を普及する「はまふぅどコンシェルジュ」を取得。月刊誌「カフェ&レストラン」(旭屋出版社)では、野菜がおいしいお店を紹介する『VegiLove』を連載中。
http://www.asahiya-jp.com/cafe_res/

このページの先頭に戻る ▲



前のページに戻る

ここから他ページへ飛ぶリンクナビゲーションが始まります

ここからフッターリンクナビゲーションが始まります