ここからトップページから現在のページまでのパスを示したリストが始まります

ここから本文が始まります

【食を楽しむ㉃】採れたて新鮮野菜を味わおう


新鮮野菜、最近食べていますか? 畑や田んぼが身近な方は「当たり前に食べているよ」という答えが返ってくるかもしれませんが、スーパーなど1か所で全ての食材が手に入る現代において、採れたての新鮮野菜を食べる機会は確実に減ってきていると実感します。
聞いた話によれば、魚が切り身で海の中を泳いでいると思っている子ども達もいるのだとか!? パッケージ化されたものが食材のあるべき姿だと捉えるように、スーパーで売られている野菜が、どんな風に育ち、どんな風に実って収穫されているのか、土の上になるのか、下になるのか、いつも口にしている野菜のことを知らない人も増えてきているのかもしれません。

育て、採れたてをいただく楽しみ!

そこで今回は、「新鮮野菜を味わおう」と題して、野菜を育てる楽しみ、それを収穫して味わう楽しみをご紹介します。
『トマト嫌いな子どもが自分の育てたトマトを美味しいと言って食べ、好き嫌いがなおった!』などといった話をよく耳にしますが、新鮮野菜には無限大のパワーが秘めている、と感じることもしばしばです。新鮮だからこその良さ、美味しさに迫ってみたいと思います。

1.完熟だからこそ美味しい

スーパーの野菜は完熟ではない!?

「採れたて野菜が美味しい」のは周知の事実ですが、では、なぜ採れたてだと美味しいのでしょう? 理由の1つに『完熟で食べる』ことが挙げられます。採れたて野菜、イコール、すぐ食べることが前提なので、熟した最善の状態を収穫して食べるからです。

そもそも、スーパーに並ぶ野菜の多くは完熟した状態で収穫されていません。完熟になる一歩手前で収穫され、店頭に並ぶまでの流通期間で熟させたものがほとんどです。それは、流通に数日を要するという小売店の都合によるものです。完熟状態で収穫したものを輸送すれば、店頭に並ぶ頃に傷みや劣化が出てしまうからです。こうした事情により、完熟、もぎたて、採れたてを食べる機会はめっきり減ってきているのが現状です。

完熟だと栄養価も高い!

一方、完熟した野菜は味も濃く、栄養価が熟していないものと比べて数倍高いという結果報告があります。例えばトマトに含まれるリコピンの含有量は、完熟と青く熟す前に収穫されたものとで比べれば5倍以上、グルタミン酸では1.7倍以上多くなるといいます。グルタミン酸といえば、『旨み=美味しさ』を感じるアミノ酸の一種。採れたて=美味しいは、科学的にも立証されているわけです。

大人の味覚の3倍ともいわれる子どもが、自分で収穫したトマトを食べて美味しいと、好き嫌いがなおるのは、育てて実がなった嬉しさだけでなく、そこに含まれる完熟野菜の栄養価をまるごと享受して純粋に美味しいと感じているからこそ、というのも見逃せない事実ではないでしょうか。

ちなみに、野菜は鮮度が命。収穫された後も、個が持つ栄養を使って成長し続けます。しばらく放置しておくと、じゃがいもに芽がでたり、人参の葉っぱがのびたりするのはそのためです。でもその分、その野菜から栄養が奪われているので、栄養価も必然と落ちていきます。採ったらすぐ食べる! が栄養面でもベストなのです。

このページの先頭に戻る ▲


2.新鮮野菜はどこで買う?

新鮮、採れたて野菜を入手する方法をご紹介します。

①直売所

農産物が集まる直売所は全国各地にあります。JAが運営する大規模なものから、個人が出店している小規模なものまで様々です。農家が個々の畑で収穫した作物を直接売りに出すので、基本完熟ものが並びます。朝採りが多く新鮮なのはもちろん、スーパーなどに出回らない珍しい野菜に出会えることもあります。そうした発見があるのも直売所のメリットです。また農家個人の直売所では、無人販売もありますが、農家さん自ら店番するケースも多いので、その場合は会話を多いに楽しみながら購入してみてください。「今はどの野菜がおすすめですか?」「これ珍しいですね」と話していると、野菜にまつわる知識や、食べ方(レシピ)などの情報もゲットできたりして一石二鳥です。また、1年中何でも手に入るスーパーとは違って、直売所は野菜の“旬”を知ることもできますよ。

②ネット通販や宅配サービス

忙しい現代人を支えるネット通販、宅配サービスが野菜購入の場でも大活躍しています。ネットでワンクリック、自宅に新鮮野菜が届く便利さから、利用する人は増加傾向にあります。全国各地のこだわり野菜が大集合した『Oisix』や『らでぃっしゅぼーや』など各種有名サイトがありますが、なかでも、「オーガニック」という言葉が1つのキーワードになっています。ただ買いに行く時間がないという理由だけではない、プラスアルファのメリットを求めて、安心・安全な野菜を食べるために利用する人も多いようです。

③スーパーの地産地消コーナー

最近スーパーの野菜コーナーの片隅に設けられることが増えてきた『地産地消コーナー』。そこでは、地元で採れる野菜が各種並び、個包装され、生産者名が明記されていたりします。「●●地域の●●さんという方が作ったのね」と地元だからこそわかる名称に何だか馴染み深い気持ちになったりします。値段はスーパーで通常販売しているものより少し高いですが、その分新鮮な野菜を気軽に手に入れられる貴重な場でもあります。

このページの先頭に戻る ▲


3.育てて食べてわかる野菜の面白さ

どんな風に野菜がなるの?

子どもの時に体験する、じゃがいもやさつまいも堀り、プランターで簡単に栽培できるトマトやナスやきゅうり、これらはどんな風に実がなるかは知っていても、他の野菜ってどんな風に実になるのか知らないことも多いのでは? そこで、ごく一部の野菜の収穫直前の様子をご紹介します。

【玉ねぎ】
土の上に飛び出た玉ねぎの、ねぎの部分がくたっと土に向かってしなびたら、収穫の合図です。その下には私達がよく目にする玉ねぎがいます。右の写真はレッドオニオン。土にほんの少し玉ねぎが顔を出しているのも収穫OKを知らせるサインです。ねぎ部分を持ってスポット抜き取ります。

苗の根付けをしたところ。 収穫直前。玉ねぎが土から顔を出しています。


【ズッキーニ】
かぼちゃの仲間であるズッキーニ。土に近いところに密集して実がなります。花がだんだんと実になっていくさまは面白いものです。市場で売られているぐらいの長さと太さになったら収穫タイミングです。放置しておくと大根ぐらいの大きさにまで成長します。


【スナップエンドウ】
マメ科のスナップエンドウはつるをぐんぐん上にのばして、その先々で花をつけ、その後実をぷくっと膨らませます。なかの実がパンと張り、ぷっくりとしたら食べ頃の合図です。

採れたて野菜だからこその違い

収穫したての野菜を口にすると驚くことがよくあります。まず野菜自体の味が濃いこと。完熟、もぎたての美味しさは格別です。また、ゆで時間が圧倒的に短い(火の通りが早い)ことも、収穫後にすぐ調理しないと気付かないことです。大根やじゃがいもにもすぐ火が通ります。また、野菜が元気に生きている! と感じる瞬間も。例えば、写真の芽ねぎ。採れたてをみそ汁に入れると、ぶくぶくとたくさんの気泡が…。こうした発見が感じられるのも、採れたて野菜を味わう醍醐味です。

このページの先頭に戻る ▲


1.まとめ

採れたて野菜を食べる魅力、存分に伝わったでしょうか? 新鮮な野菜を購入する努力は、いつでも始められますが、最後にご紹介した野菜を自分で育てることまでは少々ハードルが高い、と思う方もいらっしゃるでしょう。ですが、食の安全が声高に叫ばれるなか、農業に興味を示す人は確実に増えてきています。定年後の楽しみに農業を始める人も多く、一方、若い世代で子どもと一緒に土いじりをしたいと、農地を借りてはじめる人も少なくありません。同時に、気軽に農作業がはじめられるレンタルスペースも各地に増えてきています。農作業に必要なものを全てその場でレンタルできる「シェア畑」というのもあったりします。ぜひとも、採れたて野菜の美味しさを実感しつつ、その先にある育てたものをもぎって食べる幸せにも触れてみてはいかがでしょうか。

そもそも、スーパーに並ぶ野菜の多くは完熟した状態で収穫されていません。完熟になる一歩手前で収穫され、店頭に並ぶまでの流通期間で熟させたものがほとんどです。それは、流通に数日を要するという小売店の都合によるものです。完熟状態で収穫したものを輸送すれば、店頭に並ぶ頃に傷みや劣化が出てしまうからです。こうした事情により、完熟、もぎたて、採れたてを食べる機会はめっきり減ってきているのが現状です。

田中恵子(フードライター)
編集プロダクション、WEB制作会社を経てフリーランスに。フード、ファッション、介護などの媒体で、取材・執筆・編集を担当。食べることが大好きで、フード系の取材は多い月で30件にも及ぶ。最近では横浜の農を普及する「はまふぅどコンシェルジュ」を取得。月刊誌「カフェ&レストラン」(旭屋出版社)では、野菜がおいしいお店を紹介する『VegiLove』を連載中。
http://www.asahiya-jp.com/cafe_res/

このページの先頭に戻る ▲



前のページに戻る

ここから他ページへ飛ぶリンクナビゲーションが始まります

ここからフッターリンクナビゲーションが始まります