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【元気な暮らし】朝の目覚めをよくする食事習慣

新年度が始まって、さあこれからというときなのに、朝、なかなか起きられない。よく寝たはずなのに、なぜか目覚めがすっきりしない。春はこんな声をよく聞きます。そこで、今回は食事から改善する朝の目覚めを紹介します。

遅刻してでも朝食はとりたい

朝食の大切さはよく言われることですが、食べるよりも1分でも長く寝ていたいという人には特に実感してほしいことです。朝の目覚めが悪いと、1日の良いスタートがきれません。

1.朝の目覚めに必要なもの
2.朝食を摂る
3.こんな朝食が理想的
4.良い目覚めには良い睡眠を。そのための食事は?

1.朝の目覚めに必要なもの

やはり朝食は大切

朝をスッキリさせるコツは大きく2つあります。1つ目は朝食を食べることです。朝食には脳に栄養を送り込むという重要な働きがあります。脳は大食いの臓器で、1日の消費エネルギー(カロリー)のうち約20%は脳の活動に使われます。脳を目覚めさすには、たくさんのエネルギーが必要なのです。
朝食を食べることで脳に栄養がしっかりと行き渡れば、脳がハッキリと目覚めます。そして脳に栄養が届くことで、1日の仕事や家事、学習など様々な活動への意欲が高まります。意欲が高まると集中力も高まり記憶力が向上します。記憶力が向上すると記憶できる量も増えるなど、脳がフル回転するようになります。この一連の活動により、朝から頭が冴えてスッキリと1日を始めることができるのです。

睡眠不足は悪循環を引き起こす

◆適度な睡眠時間は?
適切な睡眠時間には個人差がありますが、平均して7〜8時間程度です。疲れを翌日に持ち越さない、あるいは日中ぼんやりしないといった状態であることが目安です。まず、朝の起床時間は決まっていることがほとんどですから、さかのぼって必要な睡眠時間を確保できる夜の入眠時間を計算します。まずは、計算して日頃の自分の入眠時間との違いをハッキリと自覚しましょう。
 違いを自覚するだけで、いかに日頃自分が寝不足であるかが解ります。

2つ目は睡眠です。これは前日の夜からさかのぼって見直すことが重要です。つまり、朝の目覚めは前日夜の行動、特に夕食に大きく影響を受けます(後述)。
睡眠時間が少ないと、心身ともに休養不足で朝になっても起き上がれません。寝不足は朝の目覚めを良くする朝食を食べるために悪影響と悪循環を起こします。寝不足の状態では食欲が沸いてきませんので、朝食を食べることができません。また、少しでも長く寝たい気持ちが優先されて朝食を食べる時間の余裕がなくなってしまいます。

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2.朝食を摂る

脳にエネルギー、体に活量を送り込む

◆春はなぜ眠いか?
春、眠い理由はいくつかあります。まず、自律神経の乱れが大きいでしょう。季節の変わり目、特に春先は気温や天気の変わりやすい時期です。こうした変化に体を対応させようとするため、自律神経は乱れがちになり、そのために眠くなることが多くなります。
一方で、温かくなるにつれ、新陳代謝は活発になりますので、身体的には疲労しており、それが眠気につながっています。

朝食は英語でbreakfastと表記しますが、これは“断食(fast)を打ち切る(break)”という意味でもあります。睡眠時間という断食時間を終わらせるのが朝の目覚めであり、減ってしまったエネルギーを朝食で脳に届ける必要があるのです。
朝食は脳の機能に最も影響している食事だといわれています。朝食から得られる栄養は、情緒の安定などについても重要な役割を果たしています。言い換えると、朝食を食べないとヤル気を失いやすくなるのです。朝、だるく感じる人は、実際に体は起きていても脳は寝ぼけたような状態になっています。ですから朝の目覚めを良くするには朝食は欠かせないのです。

体内時計を整える

朝食を食べるために起きる時間を一定にすることは、体内時計のリズムを整えるのに有効です。
人は産まれ持って、体内時計という遺伝子を持っています。しかし、この体内時計は1日25時間だといわれています。現実は24時間ですから1時間のズレがあります。このズレを修正するのが朝食です。朝食を食べることで、「昨日の夜から明日の朝に切り替わりましたよ」と体に朝を教えるのです。朝を関知した体は、脳と体の両方が目覚めます。そして、決まった時間に起きることで、体が朝のモードに切り替わって目覚めが一層良くなります。しかし、起きてすぐはまだ脳が十分に活性化していません。そこで、朝食を用意する、あるいはしっかりと食べ、手足や口を動かすことが脳への刺激になります。
朝食の用意は、すべて自分一人でする必要はありません。例えば、「食器を並べる」「飲み物を入れる」といった体を動かす行為、特に手先を動かすことが目覚めには重要です。
後片付けも効果的です。「ゴミを捨てる」「使った食器を洗う」などの行為は、朝の限られた時間内に頭の中で作業手順を瞬時に計画立てて考えるものです。これが脳と体に爽快な朝を迎えるウォーミグアップになります。

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3.こんな朝食が理想的

炭水化物はエネルギー源だけど、それだけでは逆効果

朝食の内容は、まずはエネルギーとなるご飯やパンといった主食が必要です。しかしここで、ご飯とインスタント味噌汁、またはパンとコーヒーだけでは脳にとっては物足りません。ごはんやパンという炭水化物(糖質)中心のエネルギー源だけでは脳のパワーは最大限にならないからです。しかも、糖質中心の食事では逆に脳のエネルギーの状態が不安定になりやすくなります。
これはなぜかと言うと、炭水化物は消化が早く、すぐに脳のエネルギー源になるのですが、炭水化物だけの食事では、急激に血液中のエネルギー量(血糖値)が多く(高く)なってしまいます。すると、多過ぎる血液中のエネルギー量を下げて通常の量にしようとするホルモンが出ます。このホルモンが出ると血液中のエネルギー量が下がりますが、脳の栄養補給の量は落ちてしまいます。つまり、脳はエネルギーがたくさん送り込まれたり、急に少なくなったりとするのです。そうなると脳は、食後は目が覚めたようでいても、2〜3時間後には栄養不足でぼんやりとしてしまうようになってしまいます。ですから、次の食事の昼食までの間、脳をずっとスッキリとさせておくには、ご飯やパンといった炭水化物だけでは不十分なのです。

タンパク質で糖質とのバランスをとる

そこで必要になるのが、おかずです。おかずになるメニューは消化に時間がかかるので、血液中のエネルギー量が急激に多くなり過ぎることを防ぎます。また、脳以外の体にとっても必要な成分です。食事には肉や魚、卵、牛乳・乳製品、大豆・大豆製品などのタンパク質が必要なのです。タンパク質は脳の神経伝達物質のバランスを良くするため、集中力をアップさせ気持ちを落ち着かせてくれます。そこで手軽で朝食におすすめなのが、卵や納豆、豆腐、ハム、牛乳、ヨーグルト、チーズなどです。

さらに野菜・果物で脳を活性化

これに野菜や果物をプラスできれば全体のバランスがとれ、脳の目覚めに最適です。洗ってすぐ食べることのできるプチトマトやレタス、水戻しが簡単な乾燥わかめ(海草類ですが野菜と数えてOK)が便利。バナナやカットフルーツなどを常備しておくのも良いでしょう。
そして、最も重要なのが「しっかりと良く噛む」ことです。しっかりと良く噛めば、朝食のメニューがご飯でもパンでも同等に脳の働きをよくすることがわかっています。
しっかり噛むことは脳を刺激し、活性化させます。噛むことは脳の血流を10〜30%も増加させるといわれています。噛む回数が増えるほど、脳が目覚めていきやすくなります。
ですから、固くて噛む回数が自然に増える野菜や海草・きのこ類のメニューを朝食に入れるのはとても意味のあることなのです。野菜類のメニューは前日の夕食の残りや持ち帰り総菜、カット野菜などのサラダなどで十分です。ただし、インスタント味噌汁のワカメ程度では量が少な過ぎ。乾燥ワカメをひとつまみ追加するぐらいの量は必要です。
野菜類は、ビタミン、ミネラル源としてだけでなく、食物繊維を取ることができます。食物繊維を朝食に取り入れるメリットは、血液中のエネルギー量が増える速度を遅くすることです。ゆっくりと血液中のエネルギー量が上がることで、脳のエネルギー量が多過ぎたり、急に減り過ぎたりすることなく一定量を維持することができます。すると脳はエネルギーが食後数時間、きちんと必要量が常に送りこまれるので、活発に動いて頭が冴え続けるのです。

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4.良い目覚めにはよく睡眠を。そのための食事は?

休日の寝だめが一番悪影響

最も良くないのが「休日の寝だめ」です。日頃の夜更かしを解消するためする「休日の寝だめ」が朝の目覚めに悪影響を及ぼします。寝だめは、これまでの睡眠不足を解消することはできますが、これから起こる睡眠不足に備えることはできません。

◆低血圧だから朝が苦手?
低血圧で朝が辛いという話をよくききます。しかし、朝がつらいのは、一部の重度の低血圧の場合を除いてほとんどが生活習慣に原因があります。血圧が低めな程度では、目覚めに影響することはありません。決まった時間に起きる、朝に二度寝しない、といった習慣を身につけることが大切です。
ただし、めまいやふらつきがある場合は貧血が隠れている場合もあります。気になる場合は受診をしてください。

寝だめのために朝寝坊をすると、その日は朝食を食べない、あるいは朝昼兼用の食事になってしまいます。すると体内時計のリズムが狂って体が朝のモードに切り替わりません。朝寝坊をした日のほうが、ぼんやりした状態が長く続くのはこのためです。ですから、休日でも、平日と同じくらいの時間に起床し、朝食を食べる習慣をつけましょう。ゆっくりする時間の誤差は1時間ぐらいが目安です。その後、更に睡眠を追加したい場合は昼寝を1〜2時間追加しましょう(あまり長く昼寝をし過ぎると夜の寝付きが悪くなります)。

寝だめをしたり、昼寝が長過ぎたりすると夜に目が冴えて寝る時間が遅くなってしまいます。翌朝は更に朝寝坊をしやすくなり、その日の夜も寝始める時間が遅くなってしまいます。結果、次の平日の朝にはまた寝不足の状態に陥ってしまっているのです。この悪循環を断ち切ることで朝の目覚めを良くし、朝食を食べる余裕を生みます。平日でも休日でも決まった時間に寝起きることが朝の目覚めを良くする大きな要素です。

夕食の食べ過ぎ・飲み過ぎは禁物

何よりも「夕食の食べ過ぎ」と「お酒の飲み過ぎ」は夜の睡眠の邪魔をします。前日の夜に食べ過ぎていると睡眠時間中に頭は眠っていても胃腸は消化吸収のためにずっと働き続けています。すると、脳の疲労はとれても体の疲労は持ち越されてしまいます。夕食は「もう一口食べようかな」と思うところでやめるのが目安。これはいわゆる「腹八分目」の状態で、満腹まで食べないのがコツです。
特に平日の夕食は食べる時間が乱れやすいものです。食べはじめの時間が遅かったり、寝る時間に近い時間帯で食べる夜食は食べ過ぎ=カロリーオーバーの原因になります。
遅い夕食になってしまう場合は、7時頃におにぎり1個やサンドイッチなどを軽く食べておき、帰宅後に先に食べた分を差し引いておかず類を食べるようにすると睡眠の邪魔をしない上に、食べ過ぎを防いてくれます。
そして、飲酒は量に要注意です。お酒はウトウトと眠気を呼び込みますが、実際の睡眠の状態は浅く、熟睡できていません。つまり、食べ過ぎ、飲み過ぎは睡眠の質を落としてしまうので、翌朝スッキリと目覚めることを邪魔してしまうのです。飲酒は1日ビール中ジョッキ1杯(500ml)程度が目安です。

夜の揚げ物は避けたい

気をつけたいのが夕食やおつまみのメニューです。唐揚げのような揚げ物、ピザなど脂肪分が多くてカロリーが高めのメニューは要注意です。これらの料理は消化吸収に時間がかかります。睡眠中にずっと胃腸を動かしても翌朝にすっきりお腹が軽くなっているかというと、そんなことはありません。朝になっても前日の夜に食べた揚げ物などが胃腸に残っていると、朝食に対して食欲が沸きません。自然と朝食を少ししか食べない、あるいは抜いてしまうようになってしまいます。
朝の目覚めを絶対にシャキッとさせたいような大切な日の前日は、特に夜の食事内容の影響を考えておく必要があります。不可欠な朝食が食べられなくなるような夜の飲食は禁物です。宴席などでどうしても脂っこい消化に時間がかかるメニューが出てきても、枝豆やグリーンサラダなどあっさりメニューを多めに食べるようにして、胃腸の負担を軽くしておきましょう。
早寝早起き、朝食を食べることで朝の目覚めを快適にしましょう。

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菊池真由子(管理栄養士 健康運動指導士 NR・サプリメントアドバイザー)
大阪大学保健センター、フィットネスクラブ、国立循環器病センター集団検診部を経て、インターネットなどで病気の予備軍の人達への栄養指導を専門に20年あまり従事。特にダイエット、生活習慣病、メタボ対策、健康づくりなどを中心に行う。サプリメントの専門家としても幅広く活動し、マスコミ取材も多数。
著書に『免疫力を上げるコツ』『免疫力を高めるとっておきメニュー』『がん予防に役立つ食事・運動・生活習慣』『40歳からの健康ダイエット』『花粉症からあなたを守る食事学』『あなたと家族を守る がんになりにくい、再発しにくい 食事と生活習慣』など。



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