ここからトップページから現在のページまでのパスを示したリストが始まります

ここから本文が始まります

【健康を考える】特定保健用食品① トクホを使ってヘルスケア

よく耳にする「トクホ」とは、特定保健用食品の略称です。「特定保健用食品制度」が1991年に栄養改善法に基づく特別用途食品の一分野として創設され、その考え方が確立されました。特定保健用食品制度は、保健機能成分を含む食品について、有効性、安全性、品質を審査し、合格したものにトクホマークをつけ「保健の用途(栄養成分の機能表示」を表示することを認めるものです。

特定保健用食品はサプリメントではない

特定保健用食品(以下トクホ)はサプリメントではありません。それは、トクホがあくまでも「食品」であること、そして、特別な審査を受けて初めて認可され「一定の健康に貢献する」とされることにあります。

1.特定保健用食品とは
2.特定保健用食品の良さ
3.栄養機能食品との違い
4.特定保健用食品の効果を引き出すためには
5.特定保健用食品と健康チェック
6.過信は禁物

1.特定保健用食品とは

トクホは食品

トクホは「特定保健用食品」とされているように、明らかに「食品」です。このため、「おなかの調子を整える食品です」「脂肪を消費しやすくする食品です」という表示は認められますが、「高血圧を改善する食品です」「糖尿病に役立つ食品です」のような医薬品と類似した表示は認められません。
まわりくどく歯切れの悪い表現ですが、トクホは「食品の保健の効果は個々の食品の組成、成分等を総合的に検討したうえで判断すべきである」という考えから、許可は製造企業が提出した商品ごとに、個別審査を行い、総合的に判断したうえで適正と認められたものについて表示の許可が行われるからです。

認可が必要

許可を受けるには、原材料の配合割合及び当該製品の製造方法、成分分析表、許可を受けようとする特定の保健の用途表示の内容その他内閣府令で定める事項を記載した申請書を、その企業所在地の都道府県知事を経由して消費者庁に提出します。
その後、消費者庁及び国立行政法人国立健康・栄養研究所及び登録試験機関で審査を受け、合格して初めてトクホマークの表記をすることが出来るのです。
この点でサプリメントと明らかな違いがあります。トクホは食品の安全性はもちろん、表記する体調を整える一定の効果及などがはっきりと科学的に検証されています。トクホは一定の健康に対する貢献があるとみなされているといえるでしょう。

このページの先頭に戻る ▲


2.特定保健用食品の良さ

食品本来の栄養と味覚

なんといってもトクホの良さは「ヨーグルト」「お茶」「納豆」など食品の形態そのままであることです。このため、その食品本来が持つ栄養成分や健康効果も同時に得ることができます。
食品には「食べて生命を維持する」という目的のほかに、「味覚を満足させる(食事の楽しみ)と「体調を整える」という3つの役割を持っています。そのなかでも「体調を整える」部分、つまり整えたい部分に特化させた成分を多く含んでいるのがトクホなのです。
対してサプリメントは無味無臭であり、食品の好き嫌いをカバーする良さがあるものの、生命の維持にサプリメントだけでは成り立ちません。

健康増進に貢献

人間としての健康増進には、バラエティー豊かな食品が欠かせないのです。日常的に食べる食品には、まだまだどのような栄養成分があるか、そしてそれがどのように人間の健康に貢献しているか完全に解明されていません。私たちが食べている食品のなかには、まだまだ未知の成分が隠れ、大いに健康に役立っている可能性が残っているのです。もちろん、主立った成分はサプリメントとして利用することも可能ですが、体内でサプリメントから得た成分が通常の食品と遜色なく効果が発揮しているのかは解明されてもいません。その点、トクホは健康増進に役立つ成分を獲得しつつ、ベースとなる食品の良さを保っている利点があるのです。

このページの先頭に戻る ▲

3.栄養機能食品との違い

栄養機能食品とは

栄養機能食品は、トクホと同じく特定の栄養成分が豊富に含まれ、体の健康、維持増進に関わることが出来る食品です。主要なビタミン・ミネラル量が定められた一定量以上を含有していれば認められるものです。また、その栄養素に関する健康効果に関しては文言が定められていて、栄養素そのものの働きについてのみ説明しています。

トクホは広く栄養素を網羅

対して、トクホはこの栄養機能食品として取り扱いの対象となってないながら、健康増進に役立つ食物繊維やポリフェノール類、乳酸菌類などを幅広く網羅しているのが特徴です。栄養機能食品は特定の栄養素の不足を補うものですが、トクホは全身の健康に関わる「血圧」や「肥満」などに対応しているものです。
両者に優劣があるがあるわけではありませんが、どちらも食品です。自分の健康状態や食生活を振り返って使い分けたり、併用してみるのも良いでしょう。

このページの先頭に戻る ▲

4.特定保健用食品の効果を引き出すためには

続けることで効果

トクホの商品は「血糖値」「血圧」「歯の健康」「体の脂肪」など全身の健康に関して様々なアプローチをしています。しかし前述のように、どの商品も安全性や効果を実証するための厳重な審査があります。その中に課せられた実証実験のなかに「実際にその商品を利用した人たちが、使用しなかった人に比べて明らかに改善効果があったかのかどうか」というものが含まれています。開発した食品企業のホームページなどに、使用した人と使用しなかった人との差があったことを示す図表などを公開していることがあります。
ここで注意したいのが、ほとんどのトクホ製品は、少なくても3か月程度は「連続して」「所定の量」を使用しての結果であるということです。トクホは食品ですので、即効性があるわけではありません。毎日飲む、あるいは食べるなどをしてはじめて効果が発揮されるものなのです。ですから、「今日は食べすぎたので飲んでおこうかな」「検査前だから2〜3日使っておこうかな」といった思いつきで使用する、というような利用方法では効果が現れません。例えば「焼き肉をたっぷり食べたから、脂肪の吸収を抑えるトクホを飲んで帳消しにしよう」という利用方法は間違っています。単にトクホの飲料を飲んだだけという気休めにしかならないのです。
継続するためには費用と味をチェック
3か月以上も連続して特定の飲料や食品を利用し続けるには「費用」と「味」のチェックが必要です。トクホは、一般食品に比べて1個あたりにつき数十円程度は高額に設定されている場合が多くあります。特に飲料は、1日350ml程度のものから、毎食後350mlとしてあるものまで幅広くあります。わずかな金額差でも、数か月間、表示にある量を利用し続けるとなると、食費にも影響が出てきます。
また、味も継続できるかどうかを判断する重要なポイントです。自分の好みの味、あるいは利用が続けられるような味でなければトクホの効果が現れる前に挫折してしまいます。試し購入をして試飲・試食をして味のチェックをしてみましょう。

自分の体質や味覚に合うものを

上記のように、効果を実感できるのにも時間がかかります。焦って商品に表記されている量の倍量を使用して期間を短縮しようとしても、それでは効果が出ないばかりか、思わぬ体調不良を招くことがあります。表記されている分量以上を連続して使用した場合、成分によっては下痢をはじめとする胃腸障害といった健康度を下げてしまうものもあるのです。
コレと思ったトクホ商品は、「これなら続けられそう」と感じる商品を選ぶのが上手な利用のコツといえます。中には、利用してすぐに「胃が痛い」「まずい」と感じるものもあります。あくまで食品なので無理に我慢する必要はありません。似たような効果をうたう別の商品に変えて検討してみましょう。さらに、それを3日以上1週間程度ほど連続使用してみます。1日に使う量が多い、その商品に対して味や食品として飽きを感じる、予想よりも予算がかかってしまうなどの場合は、止めてしまいましょう。三日坊主という言葉があるように、3日以上続けることが出来そうになければ、3か月以上の息の長い連続使用は難しいので、早々に切り上げたほうが良いでしょう。

ヨーグルトはわかりやすい
例外的にトクホ商品のなかで効果や商品の見極めが簡単なものが「おなかの調子を整える」トクホ認証を得たヨーグルトです。各社からでていますが、含まれている乳酸菌の種類と量に個性があり、利用者の体質と相性問題がでてくるのです。まず、1日80〜100g程度食べて約2週間ほど便通の様子をみます。なんら変化がなければ一度別のメーカーの商品を同様に食べます(食べるタイミングは気にしなくても良いです)。そこで、もっとも自分のなかで便通や体調が良いと感じる商品をみつけ、それを日々の生活に取り入れるのがおすすめです。

このページの先頭に戻る ▲

5.特定保健用食品と健康チェック

セルフチェック&健康診断

トクホは日常生活の何気ない体調の不調をサポートするものです。そのためには自分で体調のチェックが必要です。便通など、自分でチェックできるものもあれば医療機関での健康診断が必要なものもあります。そこで、自分の血糖値や血圧、中性脂肪や歯の状態など明らかになってきます。
健康状態の中でも、特に食生活の是正が必要と内心感じている人は健康診断を受けることを避けてしまいがちな傾向が高いものです。そこで「血糖値が高いのではないか」「太っているのは油っこい食事が多いだけで、体そのものはなんともないのではない」と自己判断をしてしまいます。そして店頭に並んでいるトクホを利用してなんとかしようとするのです。しかし本当は「血糖値が高いのではなく中性脂肪が高かった」「体脂肪が多いだけではなく血圧も高くなっていた」など自分の健康状態の悪さにも気づかず、しかも無関係なトクホ商品を利用してしまうケースがしばしば見られます。これではトクホ利用が全く無意味になってしまいます。血液の状態や歯の状態などは年に1度は健康診断などを受け「本当の自分の状態」を知ることで、自分の状態にマッチしたトクホを選ぶのが必要です。

このページの先頭に戻る ▲

6.過信は禁物
ここで注意したいのは、「トクホを使えば安心」と過信することです。例として「からだに脂肪がつきにくい」などの体重や脂肪に関する表記のある「食用油」をあげてみます。コマシャールなどをみて「これを使えば使うほど、脂肪がつきにくい成分を多く摂取できる」と誤解して、逆に油の使用量が増えてしまう場合があります。体に脂肪がつきにくい認証を得てはいるものの、あくまで「油」という食品です。油は少量で高カロリーの食品なので、摂り過ぎで肥満を招くという本末転倒にならないように注意が必要です。
このほか、血圧や血糖値、肥満対策のトクホ認証を得るためのデータ収集について、対象とされる被験者(実験に強力してくれる人)は、効果が現れやすい軽度肥満(ややぽっちゃりした体型)の人を集めて効果の優位性を大きく数字として出そうとする場合が往々にしてあります。
また、商品としての油の効果を検証するためには、その商品を利用したグループと、そうでないグループを、その油以外の条件を揃えなければなりません。そこで、どちらのグループにも同じ摂取カロリー、同じメニューで使用する油だけを変えて「効果」を判定しなければなりません。するとトクホ認証を受けた油を使用した場合のほうが体の脂肪が減ったのですが、同時にどちらのグループでも体重の減少が起きたという例もあります。つまり、日頃の食べ過ぎを是正するとトクホを利用しなくても適正な体重になることなのです。
トクホ商品には「食生活は、主食、主菜、副菜を基本に、食事のバランスを。」とバランスのとれた食生活の普及啓発を図る文言の表記義務が課せられているのはこのためでもあるのです。

注意!!医薬品とは併用しない
トクホは健康な人への健康増進や「病名がつくほどではないけれど、正常ではない」というようなグレーゾーンにいるような人達に予防やこれ以上の悪化を防ぐことでスタートしています。しかし病気として診断されている、あるいは医薬品を用いて治療を受けている人の使用は禁物です。トクホで病気が治るわけではないのです。さらに、トクホはあくまで食品ではありますが、特定の成分を多く含んでいます。医薬品との副作用を起こすこともあり、治療の足を引っ張ってしまいますため、主治医と十分な相談をしてください。

このページの先頭に戻る ▲

菊池真由子(管理栄養士 健康運動指導士 NR・サプリメントアドバイザー)
大阪大学保健センター、フィットネスクラブ、国立循環器病センター集団検診部を経て、インターネットなどで病気の予備軍の人達への栄養指導を専門に20年あまり従事。特にダイエット、生活習慣病、メタボ対策、健康づくりなどを中心に行う。サプリメントの専門家としても幅広く活動し、マスコミ取材も多数。
著書に『免疫力を上げるコツ』『免疫力を高めるとっておきメニュー』『がん予防に役立つ食事・運動・生活習慣』『40歳からの健康ダイエット』『花粉症からあなたを守る食事学』『あなたと家族を守る がんになりにくい、再発しにくい 食事と生活習慣』など。



ここから他ページへ飛ぶリンクナビゲーションが始まります

ここからフッターリンクナビゲーションが始まります