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【健康を考える】サプリメントの気になる話④サプリメントと健康

今回で「サプリメントの気になる話」は最終回となります。
健康目的で始めたサプリメントの摂取が、まったく意味がなかったり、健康を害してしまったり、そんな結果にならないように「あなたの健康」をあらためて考えてみましょう。

サプリメント

たった1錠飲むだけで、痩せられる、肌が蘇る、元気になる・・・よく考えたらそんな筈はないのに、手軽さと巧妙な謳い文句につい乗せられてしまうのが「サプリメント」。試しに飲んでみたら何となく効果があるように思えて、手放せなくなってしまう人も。
ただし、特定の効果や目的を謳ったサプリメントは十分な注意が必要です。過信と自己判断は禁物です。

1.サプリメントを摂る理由は?
2.サプリメントは万能ではない
3.今の自分を知るための指標
4.必要なサプリメント、不必要なサプリメント
5.専門家と上手くつきあう
6.健康長寿とサプリメント

1.サプリメントを摂る理由は?

健康維持? それともダイエット?

あなたがサプリメントを摂る理由は何でしょうか?健康維持ですか?ダイエットですか?病気や痛みの緩和ですか?
これらの根底には「健康(病気)への不安」「日頃の食生活への不安」が隠れているからです。
まず、病気であれば、その不安を主治医と十分に、納得がいくまで説明を求めることが正確で確実です。治療中であれば、なんど質問しても失礼にはあたりません。むしろ「サプリメントを使っていることを隠している」ことが、ますますあなたの健康状態を混乱させてしまうのです。

サプリメントは食生活への不安の表れ

サプリメントを使う人の気持ちの根底には、「日頃の食生活への不安」があります。中にはテレビのCMや健康情報を取り扱う番組や雑誌などから得られる情報に振り回されている人も多いでしょう。そんな方々は様々な健康法を試しては挫折したり、飽きてはいないでしょうか?

食生活が基本になければサプリメントは意味がない

全く病気と縁のない生活を年送ることはかなり難しいことです。また、誰にでも「老い」は訪れます。中年太りというような加齢に伴う体の変化を受け入れることも必要です。
ただし、なるべく病気にならないようにする、かかっても早く治るようにする、老化のスピードを遅くする、というったことを目標にしていくうえでは、サプリメントではなく食生活の乱れを正すことが重要になります。
基本となる、自分の食生活をはじめとする生活習慣を見直して実行しつづけなければサプリメントは効果を発揮できないのです。

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2.サプリメントは万能ではない

サプリメントは一つの道具に過ぎない

サプリメントは生活の質を改善するための一つの道具で、万能ではありません。例えば、喫煙とマルチビタミン(特にビタミンC)との関係です。せっかくビタミン類を追加して飲んでも、それ以上にタバコによって体がダメージを受けるために、サプリメントの効果は台無しです。まずは禁煙をするところからはじめないといけません。喫煙していなければ、食生活で起きる栄養の不足を補うことが可能です。このように、サプリメントを取ると同時に生活習慣を見直すことによって、サプリメントの効果を最大限に引き出すことができるのです。

サプリメントは不足の補助

サプリメントの効果はすぐに実感できるものではありません。あくまで「加工食品」であるからです。食事の健康効果が日々の積み重ねとあるように、サプリメントの使用も「思いつき」「気まぐれ」で使っても効果が発揮できないのです。そしてサプリメントの大きな役割は「不足の補助」であることなので、「このサプリメントを使っていれば何を食べていても大丈夫」というものではないのです。

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3.今の自分を知るための指標

体重

体重は「特に病気がなく心身共に快適な状態」であれば、あなたにマッチした体重であるといえます。なお「何も気にせずに飲食をしていても健康であった状態(20歳頃が目安)」にプラス10kgの範囲であれば、自然な増加です。これはより一層高齢になったときに、健康を維持しておくための将来貯金のようなものなのです。この増加量は何も運動をしていなければ100%脂肪ではありますが、一層の長い寿命を健康に過ごすにとっては必要なものです。「スリム体型」よりも「ちょっと太め」のほうが健康で長寿であることが研究で明らかになっています。しかし10kgを超していれば「栄養過剰」、つまり食べ過ぎているのです。生活習慣病を招く原因になります。

血液検査

これで自分の健康状態を医学的な見地で明確にし、隠れた栄養の過不足がわかります。年に1回は健康診断をうけ、血液検査をはじめ、様々な検査の結果を医師からアドバイスを受けることが重要です。もちろん、生活習慣病の有無もはっきりします。

サプリメントだけでは解決できない

一方で、自分の体重や体型、体調から想像して、何かを指摘を受けるのではないかと健診の受診を避ける人が少なくありません。また、足腰の痛みなどを感じながらも「時間がない」「忙しい」と理由をこじつけて「病名をつけられる怖さ」「通院の面倒くささ」から受診をしない場合もあります。そしてダイエットや関節痛などに効果があるようなイメージをもつサプリメントに頼ることもあるでしょう。しかし、病院での診察料金と医薬品の代金と、日頃使用しているサプリメントとの金額を比較して考えてみてはどうでしょうか?
自分に病気があるかもしれない、と認めるのは怖いことです。特に生活習慣病の場合は食事療法が重要になってくるので不自由を感じることが予想できるために二の足を踏むこともあるでしょう。しかし、ダイエットや病気などに関係をにおわすサプリメントは高額であることが少なくありません。初回は安価であっても、継続利用となると一定の出費がかかります。しかしサプリメントは薬ではありませんので、もし病気があった場合、治療効果はありません。放置していると、ある日突然倒れていきなり重症であった場合がおうおうにしてあります。すると多額の医療費がかかったり、入院、休業などで収入が激減する可能性も大きいのです。まずは、自分の体調が健康であるかのチェックを必ずしておきましょう。

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4.必要はサプリメント、不必要なサプリメント

サプリメントは類似商品が多い

体重や医師のアドバイスを受けて、病気などが隠れていないことははっきりしても「便秘気味」「疲れやすい」といった、数値の指標では測れない体調の不調があります。「医薬品を飲むほどではないけれど、体調を整えたい」というような時に活躍するのがサプリメントです。
一般的に、サプリメントは同じような成分をメインにしていながらも類似商品が多い商品です。そこで各社個性を出すために一緒に配合している栄養成分や含有量などに工夫を凝らしています。この違いを判別するには一定の知識が必要です。表示から読み取れる場合もありますが、違いがわからない場合が多々あります。こういう時は自己判断しないことが一番です。資格のある専門家に相談しましょう。

サプリメントは高額品が多い

体調に見合ったサプリメントを絞り込むことは、非常に重要なことです。そもそもサプリメントの価格帯は幅が広くはありますが、通常の明らかな食品に比べて高価です。しかし、サプリメントは通常の食品では実現できない「必要な成分だけを得る」という特徴があるので一定の出費は必要になります。ですが、何となく使っていて、気がつけば月に数千円以上使っていた、ということはないでしょうか。しかも、サプリメントは継続して使用することで効果を発揮するのです。類似した成分のサプリメントを重ねて使用すると思わぬ過剰症を招くことがある場合があります。無駄な出費を抑えるだけでなく、体を守るためにもサプリメントの「断捨離」は必要なのです。

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5.専門家と上手くつきあう

わかりやすいサプリメント・わかりにくいサプリメント

サプリメント選びでわかりやすいのが「便秘の改善」に役立つものです。乳酸菌などが多く含まれ、商品名もイメージしやすいものとなっています。商品の種類は多くありますが、1〜2週間試して効果が実感できなければ別の商品を試す、という程度で専門的な知識はあまり必要ありません。
意外と難しいのは「疲れ」に対するサプリメントの使い方です。それぞれの食事内容をはじめとする食生活全般と運動量、年齢などにあわせて勘案しなければならないからです。特定の抗疲労成分のあるサプリメントを使用したほうが良い場合と、「マルチ」といった複合的ビタミン・ミネラル類が含まれている製品が良い場合、「ビタミン群」と「ビタミンC」というように単体同士の組み合わせのほうが良い場合などがあります。

迷わずに相談する

自分ではわからない場合は、遠慮なく薬剤師、管理栄養士、保健師などに相談しましょう。メーカーの相談窓口に質問するのも良いです。(ただし販売業者のもとで勤務している有資格者は販売促進に偏る傾向があることは忘れてはなりません)そして、実際に使用して、1〜2か月経過して自分の体調が良い方向に向かっているかのチェックも怠らないようにしましょう。
ただし、サプリメントは薬ではありませんので過信は禁物。食事内容の見直しも重要ですし、食事以外の生活習慣、特に疲れを癒やすために重要な睡眠時間を削るなどの不摂生をしては効果もでません。

注意!!宣伝フレーズに惑わされない
サプリメントの宣伝フレーズに「特許を取得している」と表記してあるものがあります。しかしこれは「製造技術等」に対して与えられているもので、健康効果を保証しているものではありません。特許がある=国がお墨付きをつけた特別に健康効果が高いサプリメントである、というのは誤解です。
注意!!遺伝子解析サービスによるサプリメント販売商法
薬局やインターネットなどを通じて自分の遺伝子を解析し、様々な病気へのリスクの高低を判定してくれるサービスが登場してきました。また、その結果に付随して、リスクに対応するようなサプリメントの販売も行われています。
ここで注意したいのは、遺伝子解析サービスへの診断と治療に関わる内容は医師にのみ許可されているものです。例えば「このままではがんになってしまいます。それを抑えるにはこのサプリメントを・・・」というような説明をする企業は遵法意識が薄い怪しい業者と判断してください。
遺伝子情報というのは究極の個人情報です。検査機関などが厳重に取り扱っていても、それを利用して将来の病気への不安を連想させるような販売方法をとる業者も悪質な業者とみなせます。
しかし、結果に基づいて、食事方法や運動、美容などをはじめとする、直接病気治療に関するわけではない食生活の見直しの1つとしてサプリメントの使用や「おすすめサプリメント」としてサービスを展開していることがあります。
遺伝子解析サービスの利用方法は個人によって様々です。自分自身の遺伝子状況を知って「ここに気をつけよう」と解釈するだけで完結するケース、医師にアドバイスを求めるケース、サプリメントと絡めて考えるケースなどです。
現在、診断と治療に関すること以外に関して、遺伝子解析サービスと組み合わさったントの販売サービスに関しては法的なガイドラインがありません。生活指導改善のアドバイスなど予防に関するコメントと同時に「おすすめサプリメント」として販売をしている場合もあります。
遺伝子解析サービスの結果に基づいての食事や運動など生活改善アドバイスを受けるのであれば、医師、薬剤師、管理栄養士、保健師など、有資格である専門家に求めるのが良いでしょう。その上でサプリメントの使用の必要性の意義を知り、使用するのであれば、サプリメントに含まれている栄養成分の検討などを専門家とともに健康状態を勘案して決めていくのがおすすめです。

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6.健康長寿とサプリメント
「スタスタ歩いて趣味を満喫して美味しいものを食べて楽しく暮らす」といった人生に大きな満足感がある状態が「健康」といえます。
サプリメントはあまりに手軽に購入できることと、テレビのCMが盛んであることから「何か使わないと健康を維持が出来ないような気持ちになりがちですが、そんなことはありません。ですが、ちょっとした食事のアンバランスなどのマイナスを打ち消す力があります。これまでご紹介したサプリメント情報をもとに、正しい知識をもって判断していけますので、サプリメントを上手に使いこなしていきましょう。

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菊池真由子(管理栄養士 健康運動指導士 NR・サプリメントアドバイザー)
大阪大学保健センター、フィットネスクラブ、国立循環器病センター集団検診部を経て、インターネットなどで病気の予備軍の人達への栄養指導を専門に20年あまり従事。特にダイエット、生活習慣病、メタボ対策、健康づくりなどを中心に行う。サプリメントの専門家としても幅広く活動し、マスコミ取材も多数。
著書に『免疫力を上げるコツ』『免疫力を高めるとっておきメニュー』『がん予防に役立つ食事・運動・生活習慣』『40歳からの健康ダイエット』『花粉症からあなたを守る食事学』『あなたと家族を守る がんになりにくい、再発しにくい 食事と生活習慣』など。



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