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【元気な暮らし】顎関節症

ある日突然、口が開かなくなる、口を開けようとすると顎がガクガクして音がする・・・・・、など、あごの異常を訴える人が増えています。
「顎関節症」は、いくつかの要因が複雑に影響している、一種の生活習慣病ともいわれます。
では、その症状はどうして起きるのでしょうか。また、その対処法はあるのでしょうか。

1.若い人、女性に多い傾向
厚生労働省の「歯科疾患実態調査」によると、「口を大きく開け閉めした時、あごの音がするか」という問いに、「はい」と答えた人の割合は、20代前半の女性では約40%、30代後半で約35%、20代後半で32%と続きます。男性では、20代後半の人で約30%、10代後半と30代前半で約28%の人が、口を開け閉めした時にあごの音がすると答えています。
また、「口を大きく開け閉めした時、あごの痛みがあるか」の問いに「はい」と答えた人の割合は、男女とも10代後半が最も多く男性で約9%、女性で約12%。男性、女性とも30代後半が約9%と続きます。
口を開けたときにあごの音がしたり、あごに痛みを感じる人は、ほとんどの年代で女性に多く、また、若い人に多いのですが、その明確な理由は分かっていません。
口を大きく開け閉めしたときに関節雑音を自覚する人の割合


口を大きく開け閉めしたときに関節痛を自覚する人の割合

(厚生労働省『歯科疾患実態調査』(2016年)より)

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2.顎関節症とは(定義と分類)
1995年より、学校の歯科検診に顎関節症の診査項目が導入されたこともあり、顎関節症に対する関心が高まっています。
日本顎関節学界は「顎関節症とは顎関節や咀嚼そしゃく筋の疼痛(とうつう)、関節雑音、開口障害または顎運動異常を主要症候とする慢性疾患群の総括的診断名であり、その病態には咀嚼筋障害、間接包・靭帯障害、関節円板障害、変形性関節症などが含まれる」と定義しています。

症状の三つの大きな特徴は、
  • ○口を開けるとき音がする。
  • ○口を開けたり、物を食べるときあごが痛む。
  • ○口が開きにくい、開かない。
です。
顎関節症は次の五つに分類されています。

顎関節症の分類
分 類 内 容
顎関節症㈵型 咀嚼筋障害(咬む筋肉の障害)
顎関節症㈼型 関節包・靭帯障害(関節周囲の組織の障害)
顎関節症㈽型 関節円板障害(関節の中の組織の障害)
顎関節症㈿型 変形性関節症(関節の形の変形がある)
顎関節症㈸型 ㈵〜㈿型に該当しないもの

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3.顎関節症の自己チェック
「もしかしたら顎関節症では・・・」と心配な方は、次のチェック1で顎関節症の簡単な自己チェックをしてみましょう。思い当たる症状がないかどうか、あごの状態をチェックしてみてください。
また、自覚症状がなくても、顎関節症がひそんでいる場合もあります。そこで、チェック2により、歯ぎしりや食いしばりなど顎関節症の発症に大きくかかわる生活習慣をチェックしてみましょう。
チェック1 【顎関節症の自己チェック(いくつか該当する人は顎関節症の可能性あり)】
  • □食べ物を噛んだり、長い間しゃべったりすると、あごがだるく疲れる。
  • □あごを動かすと痛みがあり、口を開閉すると、とくに痛みを感じる。
  • □耳の前やこめかみ、ほほに痛みを感じる。
  • □大きなあくびや、りんごの丸かじりができない。
  • □ときどき、あごが引っ掛かったようになり、動かなくなることがある。
  • □人さし指、中指、くすり指の3本を縦に揃えて、口に入れることができない。
  • □口を開閉したとき、耳の前の辺りで音がする。
  • □最近、あごや頸部、頭などを打ったことがある。
  • □最近、噛み合わせが変わったと感じる。
  • □頭痛や肩こりがよくする。

チェック2 【顎関節症に関わる生活習慣 該当する数が多いほどなりやすいです】
  • □「歯ぎしりをしている」と言われたことがある。
  • □起床時、日中、気がつくと歯を食いしばっていることがある。
  • □食事のときは、いつも左右のどちらか決まった側で噛む。
  • □物事に対して神経質な面がある。
  • □職場や家庭で、ストレスを感じることが多い。
  • □夜、寝つきが悪い、ぐっすり眠れない、途中で目が覚める。

出典:慶應義塾大学病院 KOMPAS http://kompas.hosp.keio.ac.jp/index.html

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4.顎関節症の原因—ストレスも
顎関節症の原因は咬み合わせの異常とされてきましたが、近年は、多くの要因によって起こると考えられています。
いくつかの要因が積み重なり、咀嚼筋や周辺の関連組織への過剰な負担となって引き起こされると考えられています。

【主な原因】
○原因として明らかなものは、骨折や打撲、堅いものを噛んだり、急に大きく口を開けたことによる下あごや顎関節に対しての外傷など。

○原因として関連が高いと考えられているものは、ストレスや精神的緊張、それに起因する歯ぎしりや歯の食いしばりなどの、あごの筋肉を緊張させる生活習慣など。

※最近は、「咬み合わせが悪い」ことは関連が低いと考えられていますが、顎関節の位置が大きくずれているような場合には原因となっていることもあります。

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5.顎関節症の治療
顎関節症の検査や治療を受けるためには、歯科または口腔外科を訪ねましょう。
顎関節症の原因はさまざまなため、治療法はその原因に即して行われます。精神的緊張で歯ぎしりや食いしばりなどにより筋肉に過度の緊張をもたらしている場合は、患者にそれを理解してもらい、そうした生活習慣を改善していく指導が行われます。
ほかには下記のような治療が行われます。
治療の多くは運動療法で、手術をする人は1%以下です。
顎関節症はほとんどの場合、月に1〜2回の通院で早ければ1か月、長くても数か月から半年で9割くらいの人が治り、遅くとも1年くらいで改善します。

運動療法
大きく口を開けて頬の筋肉をほぐすなど、ずれた関節内組織を元に戻して顎関節の動きをよくします。

薬物療法
痛みが強い場合は消炎鎮痛剤を投与して経過をみます。

スプリント療法
関節や筋肉への負荷を軽減するため、「スプリント」(上下の歯にかぶせるマウスピース)という装具を口に装着します。

関節腔洗浄療法
関節内に炎症が生じた場合は、関節腔を洗い流して炎症を鎮めて動きをよくします。

咬合再建
咬み合わせが原因となっている場合は、咬み合わせの調整をする場合もあります。

手術療法
メスを使わない「関節鏡手術」などを行うことがあります。
顎関節症治療の医療機関の選び方
現在、顎関節症の治療は、原因を除去するとともに、スプリント(マウスピース)を装着して、薬物療法、日常生活の指導、マッサージ療法など、いくつかの療法を組み合わせて治療することが多くなっています。
しかし、顎関節症には確実な治療法というものがなく、治療に対する考え方や方法も医療機関によってさまざまです。また、顎関節症は複数の原因によることが多いため、必ずしも受診した医療機関の治療法が自分の症状やライフスタイルに合っているとは限りません。
治療医とよく話し合い、その医療機関に技術がない場合や治療法に納得がいかない場合は、紹介状を書いてもらい、大学病院や大きな総合病院などを受診することもできます。

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6.大切なセルフケア
顎関節症の多くの場合、ストレスなどによって身に付いた癖や生活習慣によることが多いので、それらをやめることが治療や予防につながります。
医師の指導の下、日常のセルフケアが重要です。

家庭で行えるセルフケア(毎日小まめに行いましょう)
○歯ぎしり、食いしばりや片側咬みなどの改善
⇒両方の歯で噛むことを意識付け、歯ぎしりや食いしばりがひどいときにはスプリント(マウスピース)の装着を。

○筋肉の緊張を緩めるストレッチ
⇒人差し指・中指・薬指の3本を縦にして口に入れて5秒間そのままの状態を保つ。

○あごに負担をかけないようにする
⇒何もしていないときに、上下の歯がくっついていないよう気をつける。

○うつぶせ寝をしない   など

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