ここからトップページから現在のページまでのパスを示したリストが始まります

ここから本文が始まります

【元気な暮らし】ちょっと気になる舌の病気

消化管の入り口、口腔の中にある舌。食べ物を食べたときに味を感じるのに重要な役割を果たしています。また、食べ物を咀嚼(そしゃく)するときに唾液と混ぜ合わせて消化を助けたり、何かをくわえたり、吸ったり、吹いたりするときなどにも舌は活躍しています。また、舌は私たち人間が言葉をしゃべるときにも、欠かせない部位です。
そんな舌に起こる異常。ときには、それが全身の状態を表していることもあります。

深刻でないものがほとんどですが、身体の病気が原因のことも

1.舌の機能と構造
2.増えている味覚障害
3.舌の病気の特徴
4.舌の病気のいろいろ

1.舌の機能と構造
舌には、「嚥下機能」「構音機能」「味覚機能」の3つの機能があります。
■舌の味覚組織

このページの先頭に戻る ▲


2.増えている味覚障害
食べ物の味を感じるのは、舌の大切な仕事です。ところが近年、何を食べても味がしなかったり、味覚が家族と違うといった味覚障害が増えているようです。食べ物をおいしく食べられない悩みは深刻です。

味を感じるしくみ

舌の表面は舌乳頭{ぜつにゅうとう}とよばれる小さな突起がたくさん存在しています。そのため、舌はざらざらして見えるのですが、舌乳頭には4種類あり、そのなかの3種類の乳頭(有郭{ゆうかく}乳頭、葉状{ようじょう}乳頭、茸状{しじょう}乳頭)に味を感知する組織、味蕾{みらい}が集中しています。
味蕾で感知された情報は、延髄にある孤束核{こそくかく}とよばれる部分に伝わり、そこからさらに大脳に伝わって、初めて「甘い、からい」などの味として認識されます。
味覚障害はその経路に何らかの異常があると考えられます。

味覚障害の症状

味覚低下・消失 何を食べても味があまりしない、もしくはまったく味がしない。
異味症・錯味症 本来の味と違う味がする、味を取り違える。
悪味症 何を食べてもおいしくない。
自発性異常味覚 口の中に何も入っていないのに、苦い感じがする。あるいは何らかの味が常にしている

味覚障害はどうして起こる?

味覚障害の原因は次のようなことが考えられます。

  1. ・降圧剤や利尿剤などの薬物の影響
  2. ・食品添加物の影響
  3. ・糖尿病や肝障害、腎障害などの全身性の病気
  4. ・偏った食事
  5. ・加齢による味覚の低下
  6. ・原因不明(突発性の味覚障害)

原因をあげてみると、いろいろあるように見えますが、共通していることは、体や血液中に亜鉛が不足しているという点です。薬剤の影響や全身の病気のために、体内に亜鉛が取り込みにくくなっていることが多いようです。

味覚障害の治療は?

味覚障害そのものに効くという薬はありません。薬剤が影響しているならほかの薬に変える、全身性の病気は治療をして整える、栄養の偏らない食事をするなど原因を取り除きます。 それが難しい、あるいは原因がはっきりしないときには、亜鉛を多く含む食品等を数か月間摂取すると有効であることが多いようです。
亜鉛の多い食品には牡蠣(かき)、肉類、うなぎ、ほたて貝、納豆、木綿豆腐などがあります。
なお、味覚障害を相談するのは耳鼻咽喉科になります。

このページの先頭に戻る ▲

3.舌の病気の特徴
舌および口腔、つまり口の中の病気にはいろいろなものがあります。多いのは一過性の口内炎によるものなどで、あまり深刻ではありません。
ただし、口や舌は消化管の一部ですから、それらの病気の症状が出た場合や、ときには全身の状態や病気の症状の一つとして何らかの異常が起こる場合があります。
たとえば、ベーチェット病は最初は舌に症状が出るものの、やがて全身の皮膚や目、外陰部などに別な症状が表れる全身性炎症性の病気です。
また、舌の表面に白などの苔っぽく見えるものが付着する舌苔(ぜったい)は、日によって色や濃さが変わりますが、消化管の調子の悪いとき、体全体の免疫力が落ちているときなどに厚くなります。そういう意味では、舌の病気は体調のバロメーターとも言えるでしょう。
なお、舌に異常が見られたときかかるのは、口腔外科のある歯科や耳鼻咽喉科などです。

このページの先頭に戻る ▲


4.舌の病気のいろいろ

○口内炎

口内炎というのは、口の中の炎症によって起こる病変のことです。口内炎の種類や原因はいろいろですが、舌に起こりやすいものには次のような病気があります。
■再発性アフタ
口内炎のなかで、最も多いものです。アフタというのは、楕円形の小さな白っぽい潰瘍性病変で、周囲は赤く、灼熱感や痛みを伴います。飲食物がしみたり、触れただけでも痛むため、食事を摂るのがつらくなります。
原因はウイルスの感染や薬の影響、ストレスなどが考えられますが、はっきりとはわかりません。普通は、放っておいても数日から2週間程度で治ります。痛みがひどいときやアフタの数が多いときなどには軟膏を塗ります。また、歯みがきを丁寧に行い、うがいをして口の中を清潔にしておくことも大切です。
人によって周期はいろいろですが、しばしば再発しやすいのが特徴です。
なお、なかなか治りづらい、数が多い、頻繁に再発を繰り返すようなときは受診しましょう。
■舌カンジダ症
「カンジダ」というカビによる口腔粘膜の感染症で、特に舌によく起こります。舌に起こるものを舌カンジダ症といいます。舌の表面に、白っぽいブツブツがたくさんできて、こするとはがれ、その後、びらんになります。痛みはほとんどありません。
カンジダ自体は、口の中に住んでいる常在菌です。子どもにしばしば見られ、放置しておいても自然に治りますが、健康な大人には見られません。
大人の場合は、糖尿病やがん、AIDS、高齢などで免疫力が低下している際に起こるもので、この症状が見られたら注意が必要です。また、抗生剤やステロイドホルモン、抗がん剤などの薬物の影響で起こることもあります。
治療は、基礎疾患の治療と、抗真菌剤によるうがいや軟膏、薬用シロップなどを使います。

○舌苔(ぜったい)の増加

舌苔というのは、舌の表面に見える白、または黄色あるいは黒っぽく苔状に見えるもののことです。健康な状態でも、舌の表面はうっすらと白っぽく見えるのが普通です。
舌苔は、口の中の衛生状態、唾液の分泌量、胃などの内臓の消化管の状態、体の免疫力や抵抗力、薬剤などの影響で変化します。唾液の分泌量が減ったり、胃の障害・疲労の蓄積・風邪などで免疫力が落ちていたりすると、舌苔が白く厚くなります。抗生物質を長く服用していると、黒っぽい舌苔がつくこともあります。
また、あまり歯みがきをせず、口の中が不潔になっていても、舌苔が厚くなります。
舌苔は口臭の原因になると言われ、へらなどで擦り取る人もいるようですが、基本的には舌苔自体の治療は必要ありません。逆に、舌苔を擦り取ると粘膜を傷つけかねないため、やめたほうがよいでしょう。基礎的な疾患があればそれを治療し、歯みがきをしっかりすることが大切です。

○地図状舌(ちずじょうぜつ)

舌の表面に、やや赤みをおびた地図のような模様ができる病気です。日によって位置や形、広がりが変わります。痛みはあまりありません。幼児や若い女性に多く見られます。
原因は体質、内分泌障害、遺伝なども関係するといわれていますが、はっきりしたことはわかっていません。有効な治療法はなく、経過をみるしかありませんが、特に心配する必要はありません。

○舌がん

口腔がんはがん全体の約2〜4%の割合で、決して多くはありません。ただし、舌がんは口の中にできるがんのなかで最も多く見られます。
原因は、はっきりしませんが、飲酒や喫煙などの化学的な刺激、歯によってこすれるといった機械的刺激が発症要因と考えられています。
舌がんのほとんどは、舌の縁(横側)にできます。白っぽいしこりができ、初期のうちはあまり痛みがありません。口内炎と間違えられやすいのですが、口内炎と違い、いつまでも治らず、進行すると芯が大きくなって痛みも出てきます。
治療法は放射線治療や外科手術になります。舌がんはまれですが、舌に治りづらいしこりやできものができたら、専門医を受診することです。

舌痛症(ぜっつうしょう)

舌痛症とは、舌や口の中、歯などを検査してもまったく異常が見られないのに、舌の先や縁にヒリヒリした、あるいはピリピリした痛みや灼熱感、しびれたような感覚が何か月も、ときには何年も続くものです。食事中や何かに熱中しているときには痛みを感じないことが多く、40〜60歳代の女性に多く見られます。
心因性のものと考えられていましたが、脳の中の神経回路の異常という説もあります。
一般的な痛み止めは効かないことが多いようです。脳内の情報伝達を促進させる抗うつ薬による治療が行われ、有効である例も見られます。
舌も体の一部です。
口内を清潔にすることはもちろんですが、バランスのとれた食事や運動で、病気に対する抵抗力をつけることも大事です。

このページの先頭に戻る ▲





ここから他ページへ飛ぶリンクナビゲーションが始まります

ここからフッターリンクナビゲーションが始まります