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【住まいの防災対策と災害後の対応A】豪雪・豪雨に備える

雪景色は美しいものです。全てを白一色に染め、しかも音までも吸収して独特な空間を演出します。日本では多くの地域で雪に巡り合うことができます。近年では、温暖なイメージがある四国、九州などでも記録的な量の積雪がありました。
一方で、雪は家屋に対してあるいは人、作物に対して被害を及ぼします。また、車の運転でも雪は障害となり、物流の面でも問題になります。鉄道でも雪への対策は深刻です※。
※主に2つの方法が用いられています。
@貯雪型;掻き分けて高架橋内に雪をためる。   A散水消雪型:雪を溶かす。

地域によって認識は様々

車の運転といえば、アメリカのボストンに住んでいる人の話では、雪が降っても車のタイヤはノーマルだそうです。冬は気温がマイナス20度にもなったり豪雪が降ることもあるニューヨークでも、スタッドレスタイヤという雪用のタイヤを使わずに通常のタイヤで過ごしている人が多いようです。一方、日本では、冬期の高速道路でのスタッドレスタイヤやスノーチェーンが強制されている場所があります。地域の慣習や規則は、その地域に住んでいる人が長年の経験によって培ってきた安全対策ですから、決して疎かにすることはないようにしましょう。

1.豪雪に備える
2.豪雨に備える

1.豪雨に備える

建築基準法上の各地の積雪基準値

建築基準法では、雪の被害から建築物を守るために「積雪基準」を決めています。行政庁は地域ごとに「積雪量」を計算して建築の安全性を測るための材料としていますが、たとえば、秋田、富山、北海道などの多雪地域は積雪量(垂直の深さ)は1.5mとされています。
また、雪はたくさん積もると圧縮されて重くなるので、積雪量に加えて「単位加重」という基準が設けられています。一般地域の基準は、積雪量30p、単位加重20N/cm/uです。20N/cm/uとは1m角の範囲に1cm積もった雪が2Kgであるということです(秋田、富山、北海道では30〜35N/cm/u)。
従って、3cm積もる地域では、60kgの雪の重さを想定することになります。ただし、地震や風で力が加わった時の計算では、そこから何割か差引いて計算します。また、新雪では1cm=2kgではなくもっと軽いのですが、圧雪されて重くなることを想定しています。
ところが、2018年1月に緩い勾配屋根の体育館で倒壊事故が起こりました。これは雪の降った後に雨が降り、凍って基準値以上の重さになって倒壊したものでした。これを受けて、2019年1月からは、一般地域でも勾配による割り増しの基準が制定されることになっています。

雪による倒壊事故

重さによる建物の倒壊
先ほどの体育館の例がそうですが、他にも屋根の谷の部分や北側の屋根部分では、他の場所よりもたくさん積もって基準値を超えることがあり倒壊に繋がることがあります。多雪地域では屋根に融雪装置をつける、雪下ろしをしやすくする、など対策を考える必要があります。

雪崩による建物の倒壊

屋根などに積もった雪は「鉛直加重」といって、重力の方向(即ち地面に向かって)に加わる力になりますので柱に負担がかかります。ところが雪崩は横の力ですので、柱と梁と筋交いといった構造体(建築物の躯体)によって耐えることになります。しかし、筋交いは地震や風の力については想定されていますが、雪崩や土石流までは考えられていないのが事実です。「想定外の力」が加われば木造の建物は倒壊する危険が高くなります。


■雪崩の力
住宅にかかる力は雪崩の速度と雪の重さが関係しますが、積雪の雪面に近い上層が雪崩れる「表層雪崩」の場合は速度が100〜200km/hにもなります。一方、積雪の底から積雪すべてが流れる「全層雪崩」は40〜100km/hですが、雪の重さは全層雪崩の方が重くなります。1u当たりに10tトラックがぶつかって来るような力がかかりますので、木造の住宅では耐えるのは困難です。

■発生しやすい場所
多くは35〜45°の斜面(スキーの上級者コースは30〜35°程度)で発生し、30°以下の緩やかな斜面(スキーの中〜初心者コース)や、60°以上の急斜面では積雪量が多くないため雪崩は少ないことがわかっています。

★寒地土木研究所・ドライブ前の雪崩情報
http://www2.ceri.go.jp/snow/nadare/08.html

多発する雪下ろしの事故

雪国では特に木造家屋の雪下ろしは欠かせません。一晩で1m以上も積雪があると、引戸は開かなくなったりするからです。雪下ろし中の落下事故も多発しています。過疎化で高齢者だけの世帯が増えているなか、自治体でも雪下ろしの作業を代行するサービスを行っている地域もありますが、高齢者世帯では自宅の倒壊の心配など、サービスを待っていられない状況にあることも多いようです。
なお、最近では雪下ろしの道具も進歩しています。昔は金属の平スコップで雪下ろしをしており、金属面が錆びると、スキーで使う固形のパラフィン(無ければ普通のローソク)を塗って雪がスコップに付かずにサクッと入るようにしていました。最近ではプラスチックのスコップができ、軽くて雪が付かずに作業しやすいようになりました。

屋根から落雪(落氷)の事故

雪が多い地域では、傾斜屋根には普通、雪止めが付いていて雪が落下しないようになっています。雪だけでなく雪が溶けてツララになって成長したものも注意が必要です。ツララを凶器にして殺人を犯す完全犯罪も推理小説にはあるぐらいですから。
傾斜屋根の場合は勾配が同じなら、材質によって滑りやすい・滑りにくいがあります。屋根裏の断熱によっても雪が溶けにくい・溶けやすいがあるからです。断熱が悪いと早く解けて滑り落ちやすくなります。材質で滑りにくい順を見ると下のようになります。

●カラーベスト
表面は細かな砂粒状になっているので、雪が滑りにくくなっています。ただし、北側などで放置されたものはコケが生えて非常に滑りやすくなるのでメンテナンスが必要です。

●和瓦
薬掛けしてないものは滑りにくくなっています。

●洋瓦(薬掛してあるもの)
水色に光沢のあるスペイン瓦などは釉薬が掛けてあるので滑りやすくなっています。耐久性は薬掛けのため優れています。

●鉄板葺き
〔鉄板(トタン板)+塗装〕という製品は少なくなくなってきましたが、あらかじめ塗装されたカラー鉄板が主流です。葺き方も一文字葺き、段葺き、瓦棒葺きなどがありますが、雪止め金具は必須です。


今年の9月6日、北海道で震度7を記録する地震が起こりました。その直前には台風の影響で豪雨があり、地震により震源地近くでは山肌が崩れ、人家も押しつぶされ畑も悲惨な状況でした。同じように地震によって、雪が降り積もっている所では雪崩を誘発することも考えないとなりません。複合的な災害は対応が非常に難しいのが現実です。

豪雪への対策

雪国では豪雪に対して、色々な建築の知識を集積してきました。たとえば、雨樋を付けても凍るので付けないという人もいるなかで、技術の進歩により、凍る心配のある水道管は融雪装置の電気ヒーターを巻くなどの対策ができました。
私も毎年スキーに行く、新潟の湯沢では地下水を汲み上げて道路に撒いて融雪したりしています。これは結構前から行われているようです。ただし、北海道のような極度な寒冷地では地下水でも道路に出てきた段階ですぐ凍ってしまうので使えません。寒冷地では冷蔵庫は、物を凍らせないためにあると言うことを聞いたことがあります。

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2.地震後の対応

豪雨による被害

今年7月上旬に西日本を襲った豪雨は「平成30年7月豪雨」と名づけられ、台風とは異なる長い期間続いた多量の降水によるものでした。その総雨量は1982年以来の極めて大きいものでした。3週間にわたって降り続き、220人以上の死者を出しました。 雨は台風とも関係が深いのですが、台風の大きさは暴風圏により定義されているので、次回の「暴風」の中で取り上げたいと思います。



豪雨による河川の決壊

豪雨対策として、河川の流量は上流の砂防ダムや調整池、または堤防などで調整されているものなのですが、想定外の雨量やそれらの施設のメンテナンス不十分が原因で決壊することがあります。
想定外の雨量といえば地球温暖化と関係があるなどの説もありますが、大気の状態が海水温や偏西風の関係などで予測を超えた状況になって本年のような「長く多い雨」に繋がっているようです。
調整施設のメンテナンスでは、砂防ダムの砂礫の除去などが行われていない等で流水量はダムが無かった状態に等しく、調整機能が働かなかったという事例もあります。
堤防に関しては多くの場合、コンクリートやブロック積みでなく土砂の物が多いので、一部で土砂が削られて決壊すると更に広がって多量の水が堤内に流れ込むことになります。

豪雨による崖崩れ

傾斜地では、雨で地盤が緩み地滑りが起きやすくなっています。特に長雨が続くと危険です。「竹やぶなどは地震に強い」などと言いますが、傾斜地の竹やぶは根の深さが他の樹木に比べて浅い(60cm、せいぜい90cm)ため、表層が滑り出すと一気に崩れます。
崖の危険度は市区町村の「ハザードマップ」(災害情報地図)で知ることができるのでぜひ見ておいて下さい。

都市型水害

都市部では道路に限らず舗装で覆われて雨水が地中に浸透せずに、道路が冠水したりする被害が出ます。これは豪雨に対して排水能力が追いつかないのが原因です。そのため、対策として以下のような施設があります。

●雨水調整施設
道路の地下などに一時的に雨水を貯める施設の例
●透水性アスファルト舗装・インターロッキングブロックなど

道路だけでなく駐車場や宅地内の舗装も雨水が浸透するものにして、集中豪雨の一時的な水量を地中に逃がして緩和するもの。インターロッキングブロックは歩道に使われていることが多く、色々な形状のものがあります。
インターロッキングブロックはモルタルを使わないので素人にも扱いやすく、DIYできます。土の上に砕石(砂利)と、砂を3cmづつ敷いて(「転圧」といいます)ブロックを並べて隙間(目地)に砂をまいてから箒で均します。砕石の段階で転圧できればなお良いでしょう。下の写真のようにブロックを縦横を組み合わせていくとずれ難いのですが、縁の直線部分は半割が必要になるので、無ければ赤レンガの半割りを入れたら良いでしょう。
地域の条例で緑化や雨水排水の抑制が規制されてきているので、行政の窓口で確認してみて下さい。

●浸透枡、浸透トレンチ

敷地内の雨水を公共の排水管に流す前に、なるべく敷地内で浸透させる方法で、地域ごとに規則があります。場所によって、雨水は全て敷地内処理しなければならない所もあります。
公共(前面道路)の排水管が汚水管しかないところや、雨水管はあっても接続が規制されているところなどもあります。




雨水の排水方式
名称 合流(合併)式 分流式
方法 雨水と汚水を一緒の排水管で処理する。 雨水と汚水は別々に接続する。
特徴 大雨の場合には処理しきれない下水の一部を未処理のまま河川や海に流してしまうことがある。汚水が処理されないで環境に流出する可能性がある。 建物内でも排水管を分ける必要があるが、バルコニーや屋根の排水以外は汚水なのでそれ程排水管の数は多くならない。
台所、風呂の水、洗面所の水も汚水である。し尿と分けて雑排水(略してザッパイスイ)とすることもある。
それ以外の方法 〇地域によっては汚水の排水管が道路に無い所もある。その場合は浄化槽に頼ることになるが、処理された排水は敷地内で浸透させたり公共のU字溝に排水する。
〇逆に、雨水の排水管やU字溝が道路に無い場合は、浸透枡などを使って敷地内で雨水を処理する。
●地下街や地下駐車場などの地下施設

地下の施設には排水ポンプが設置されて、道路の1m下くらいの位置にある排水管に汲み上げて流すようになっていますが、浸水でポンプ゚が作動しなくなることもあり危険です。そこで、日頃の排水ポンプの点検も必要ですが、土嚢(どのう)で地下への浸水を防ぐことが大切です。土嚢は役所(道路課など)に問い合わせて、置き場を確認してみて下さい。緊急時は自由に使えるはずです。
浸水、冠水の過去のデータも「ハザードマップ」(災害情報地図)に出ているので参照しておきましょう。

家屋の雨対策

チェックする場所とポイント
家屋の場所 チェックするポイント
屋根 屋根は直接見えないことが多いが、離れて見える場所を探して見ておくことも大事。
外壁 モルタルと吹き付けの場合はクラック(ヒビ割れ)が無いか?
雨樋 落ち葉や土砂が溜まっていないか?
ベランダ 落ち葉や土砂が溜まっていないか?
排水桝 土砂で塞がれていないか?
窓廻り コーキング(外壁と繋げて防水するための充填材)は劣化していないか?

豪雨の備え

住んでいる所の「ハザードマップ」(災害情報地図)は必ず見ておきましょう。

過去の水害や崖崩れの危険度が表わされています。過去に何cmの冠水があったとかは地図に示されています。最近多発している、「何10年ぶりの豪雨」に対して「ハザードマップ」は役に立つ資料です。

<備えで大切なこと>
□地域の災害情報に注意する。
□自宅の安全な場所を確認しておく(例えば山と反対側で2階部分)。
□予め避難所を確認しておき、早めに状況判断と行動を開始する。
□土嚢などは自治体によって各所に集積されている場合もあるので早めに用意しておく。

※「吸水土嚢」という便利な土嚢も販売されています。普段の重さは1kg未満ですが、水を含むと5分位で重さ18kg・長さ60cm×厚さ20〜40cmになって土嚢の役割を果たします。膨らませるには水を溜める浴槽や大きな容器が必要です。水が引いた後は炎天下に2〜3日に放置しておくと収縮しますので、一般ごみとして捨てます。地下室や半地下の駐車場をガードするために有効です。10枚で3,000〜5,000円ぐらいです。

近くの川が氾濫して、道路に水が押し寄せて来始めたら、いち早く避難を開始しましょう。そのために日ごろから準備(避難所の確認と非常持ち出し荷物のチェック)を行っておきます。
30cmの膝くらいの水位でも歩きにくくなります。また、マンホールの蓋が水で押し上げられて外れている場合もあるので危険です。流れが緩やかな場合は70cm(腰高)くらいの深さでも避難できることもありますが、道路の状況がを知っておくことが重要です。一般的に歩道には大きなマンホールは無いので、歩車道分離の場合は歩道を歩きましょう。


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