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【投資信託のしくみ】 ベンチマークで投資成果を評価

 投資信託等の商品を購入すると、ベンチマークという言葉が出てきます。「この投資信託は日本株に投資するタイプですが、ベンチマークはTOPIX※1です」とか、「グローバルに株式投資を行いますが、ベンチマークはMSCI※2です」といったことが説明書に書かれていますので目にされた方も多いでしょう。ではベンチマークとは何でしょうか。またその役割とはどういうものなのでしょうか。

 陸上競技や水泳などのアスリートは記録を狙うタイプと順位を狙うタイプの二つに分けることができます。100メートル走を例にしましょう。記録を狙うタイプの選手であれば「順位は気にしません。9秒台で走ることを目標にします」という答えになるでしょう。これは記録の絶対値を気にするタイプであるとも言えます。順位を狙うタイプであれば「記録はあとからついてきます。ともかく表彰台の一番高いところに上がりたいです」となるでしょう。これは記録という絶対値ではなく、順位という絶対値を気にするタイプです。

 記録タイプと順位タイプのどちらが望ましいのでしょう。答えは簡単には出てきません。順位は一番でも記録が悪ければ評価されませんし、記録がどれほどよくても万年2位ではおもしろくありません。どちらが望ましいかは状況次第です。世界記録を出したうえで2位であれば誇らしいことです(選手本人は悔しいでしょうが)。筆者は、幼稚園の年少組の子どもであれば30メートル走で勝つ自信はありますが(50メートル走だと走り切る自信がありません)、記録はおそらくひどいものでしょうし、そもそも、こうまでして1位になっても全く評価はされないでしょう。

 投資の世界も同じです。日本株で運用している投資信託が、年率10%のリターンを記録したとすれば、これは良いことでしょうか?低金利に慣れてしまった私たちにはとても高いリターンにみえます。しかしながらこれをもって「良い」と判断するわけにはいきません。もしも、株式市場そのものが20%の上昇を示していればどうでしょう。株式市場全体に投資するインデックスファンドを買っていれば20%近いリターンを出せたはずです。当然、評価は「悪い」ということになってしまいます。絶対値だけをみていては評価を誤ってしまうのです。

この場合、比較の対象とした「株式市場」を、比較基準という意味のベンチマークと呼ぶのです。ベンチマークは投資成果を評価するための比較の基準なのです。株や債券はリスクアセットと呼ばれるように、価格の変動を伴います。マイナスのリターンもあればプラスのリターンもあります。数十パーセントのリターンの振れは決して珍しくありません。こういった性格の資産の投資成果を絶対値で評価することには不都合が生じる場合もあるのです。

 投資には目的があります。必ず一定の絶対リターンを出すことを目標にするのであれば、記録タイプである絶対評価が望ましいことになります。一方、株や債券等のリターンの変動を伴う投資の場合には、順位タイプである相対評価が効果的な場面が多くなります。ベンチマークは評価をより効率的に行うためのツールなのです。

※1 東京証券取引所が算出する日本株の動きを示す指標

※2 モルガン・スタンレー・キャピタル・インターナショナル社が算出する世界の株の動きを示す指標


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