ここからトップページから現在のページまでのパスを示したリストが始まります

ここから本文が始まります

【1.資産運用の基礎知識】 老齢基礎年金を受けるための条件は?

 資産運用の重要性が叫ばれています。日常生活におけるライフイベント(結婚、住宅取得、就学等々)のため、あるいは老後のために資産を運用し蓄積することが必要なのです。資産運用の本論に入る前にいくつかの準備体操をしたいと思います。準備体操と言っても、資産運用で動かすのは頭です。そこで頭脳の準備体操をすることとします。

 言葉遊びをしてみましょう。「平山さん」と10回続けて言ってみてください。言い終えましたか?さてクイズです。「世界一高い山の名前は?」

 「ヒマラヤ」?いえいえ、答えはエベレストです。

 だまされた方、そうではない方、さまざまだと思います。「ヒマラヤ」と元気よく答えた方は、なぜ、エベレストを思いつかなかったのでしょう?これには脳に仕組まれたワナがあるのです。

 連呼された「平山」は「ヒラヤマ」と声に出されます。世界の最高峰の山脈である「ヒマラヤ」ととても語感が似ています。それゆえに私たちは、一定の注意力を動員して「ははーん、ヒマラヤと言うべきところを、舌になじんだヒラヤマと言わせようとしているのだな」と考えるのです。次に「その手にはひっかからないぞ」と、堂々と「ヒマラヤ」と言ってしまいます。

 人間の判断力はいろいろな事象に影響されます。直前に「平山」と連呼することは「ヒマラヤ」を連想させる布石なのです。その後「世界一高い山は?」という問いかけがあると、頭脳はヒラヤマで占められているので、つい、ヒマラヤを連想しがちなのです。ヒマラヤを思いつくと、頭脳は次のこと、すなわち「ヒラヤマとヒマラヤを言い間違えたりしないぞ。それにはひっかからないぞ」ということに注意を向けてしまい、本当にヒマラヤは世界一なのかという肝心な点に注意を払わなくなるのです。このような心理的な仕組みから生じてしまう無意識の誤りを「ヒューマン・エラー」と言います。ちなみにヒマラヤは山脈であり、エベレストはヒマラヤ山脈に含まれる高峰の一つです。

ヒューマン・エラーの例 ヒューマン・エラーは人間が意思決定をしたり、行動したりするところには必ずつきまといます。飛行機事故、列車事故、コンピュータの事故等々のさまざまな事故の原因の多くがヒューマン・エラーにあると言われています。

 資産運用においても同じことが言えます。運用にあたっての意思決定でもヒューマン・エラーの存在を認め、エラーを避ける術を身につけておくことが重要です。

 資産運用において最も陥りやすいヒューマン・エラーが「自己正当化」です。これは、自分の現在の資産構成に追い風となるような情報ばかりを集めて、現在の状態を正当化してしまうものです。例えば、日本株の状況が思わしくなく、株価がどんどん下落している状況を考えてみてください。

 こういう時に、日本株を多く保有している投資家は「今まで我慢してきたのだから、そろそろ上昇するだろう」と思い、この仮定を裏付けるような情報だけを取り入れ、「まだまだ下がる」という見方を否定してしまう傾向があります。これまでに損失を被った部分に対する「惜しい」とか「失敗した」といった無意識の心の縛りが、「そろそろ上昇する」という期待感を“捏造し”、その期待感を裏付けるために、自分にとって都合のいい情報だけを集めてしまいます。

 「かなりの損失を負ってしまったので、いまさら・・・」という考え方が、自己正当化のヒューマン・エラーを増長させることになるのです。これまでの失敗については、きれいさっぱりと忘れ、現状をスタート地点と考え、将来に向けての最善の策を考えないと大きな失敗を被ることになってしまいます。

 顧客の資産を預かっているプロのファンドマネージャーも、あるいはプロのファンドマネージャーだからこそ、その職業責任の重さに負けて、自己正当化のエラーに陥りがちだと言われています。

 ゴルフにおいてもミスショットをしてしまったら、やるべきことは次の一打をベストショットにすることです。ミスショットをくよくよしても始まりません。資産運用も同じです。ミスショットは必ず生じます。その次の一打をベストにするためにもヒューマン・エラーを排除しなければならないのです。

※芳賀繁(2000年)『失敗のメカニズム』日本出版サービスを参考


ここから他ページへ飛ぶリンクナビゲーションが始まります

ここからフッターリンクナビゲーションが始まります